17:15 〜 18:45
[U15-P22] 余震分布、GNSS、および津波記録を用いた令和6年能登半島地震の断層モデル推定
キーワード：2024年能登半島地震、断層モデル、津波
2024年1月1日16時10分に石川県能登半島で発生した令和6年能登半島地震(Mw 7.5)について、本研究では(1)余震分布を用いた断層面推定、および(2)各断層におけるすべり分布推定をおこなった。
(1) 断層面推定
断層面の推定には、気象庁の震源カタログに記載されている地震のうち1月7日までの震源の位置情報を用いた。この地震は複数の断層群によって引き起こされたことが指摘されているため(e.g., Fujii and Satake, 2024)、まずk-means法によって余震を4つのクラスターに分けた後、各クラスターに対して主成分分析を行うことで断層面(走向および傾斜)を求めた(e.g., Yukutake and Iio, 2017; Shearer et al., 2003)。各断層の長さと幅は試行錯誤によって余震分布をカバーするように定めた(Fig. 1a)。
(2) すべり分布推定
(1)で推定した4つの断層をそれぞれ4つのsubfaultに分割し、計16のsubfaultにおけるすべり量とすべり角をGNSSおよび津波観測記録を用いたジョイントインバージョンによって推定した。このとき、同じ断層に属するsubfaultのすべり角は一定と仮定し、求めるパラメータの総数は20とした。GNSS記録としては国土地理院の公表しているGEONETのF5解を元に、本震の前後7日間の平均の差を地震時変位として使用した。また津波記録としては、UNESCO International Oceanographic Commission (IOC)、国土地理院、およびNOWPHASで公開されている潮汐記録を使用した。NOWPHASの記録は画像として公開されているため、WebPlotDigitizer (Rohatgi, 2022)を用いてデジタイズを行った。また解析の前処理として各記録を60秒間隔にリサンプリングし、その後600-3600秒のバンドパスフィルタを適用した。逆問題の解はSimulated Annealingを用いて求めた。
Fig. 1bに推定したすべり分布を示す。剛性率30 GPaを仮定し、すべり量から求めたMwは7.51であり、津波およびGNSS記録とのVariance Reduction (VR)はそれぞれ76.2 %、94.1%となった。すべり分布の特徴として、震源付近ですべり量が小さく、東西それぞれに大きなすべりが存在していた。これはOkuwaki et al. (2024) が遠地P波から求めた断層モデルと調和的である。また得られた断層モデルを元にforward計算を行い、各地で観測された津波に各断層がどの程度寄与しているのか見積もったところ、半島より東の観測点では海底断層(F1およびF2)によって発生した津波が卓越していた一方で、半島の西側で観測された津波は、西側の断層(F4)によって発生したものが最初に到達し、その後半島の東側で発生した津波の寄与が大きくなっていったことが示唆された。
(1) 断層面推定
断層面の推定には、気象庁の震源カタログに記載されている地震のうち1月7日までの震源の位置情報を用いた。この地震は複数の断層群によって引き起こされたことが指摘されているため(e.g., Fujii and Satake, 2024)、まずk-means法によって余震を4つのクラスターに分けた後、各クラスターに対して主成分分析を行うことで断層面(走向および傾斜)を求めた(e.g., Yukutake and Iio, 2017; Shearer et al., 2003)。各断層の長さと幅は試行錯誤によって余震分布をカバーするように定めた(Fig. 1a)。
(2) すべり分布推定
(1)で推定した4つの断層をそれぞれ4つのsubfaultに分割し、計16のsubfaultにおけるすべり量とすべり角をGNSSおよび津波観測記録を用いたジョイントインバージョンによって推定した。このとき、同じ断層に属するsubfaultのすべり角は一定と仮定し、求めるパラメータの総数は20とした。GNSS記録としては国土地理院の公表しているGEONETのF5解を元に、本震の前後7日間の平均の差を地震時変位として使用した。また津波記録としては、UNESCO International Oceanographic Commission (IOC)、国土地理院、およびNOWPHASで公開されている潮汐記録を使用した。NOWPHASの記録は画像として公開されているため、WebPlotDigitizer (Rohatgi, 2022)を用いてデジタイズを行った。また解析の前処理として各記録を60秒間隔にリサンプリングし、その後600-3600秒のバンドパスフィルタを適用した。逆問題の解はSimulated Annealingを用いて求めた。
Fig. 1bに推定したすべり分布を示す。剛性率30 GPaを仮定し、すべり量から求めたMwは7.51であり、津波およびGNSS記録とのVariance Reduction (VR)はそれぞれ76.2 %、94.1%となった。すべり分布の特徴として、震源付近ですべり量が小さく、東西それぞれに大きなすべりが存在していた。これはOkuwaki et al. (2024) が遠地P波から求めた断層モデルと調和的である。また得られた断層モデルを元にforward計算を行い、各地で観測された津波に各断層がどの程度寄与しているのか見積もったところ、半島より東の観測点では海底断層(F1およびF2)によって発生した津波が卓越していた一方で、半島の西側で観測された津波は、西側の断層(F4)によって発生したものが最初に到達し、その後半島の東側で発生した津波の寄与が大きくなっていったことが示唆された。