17:15 〜 18:45
[U15-P39] 2024年能登半島地震の距離減衰特性
キーワード：2024年能登半島地震、GMPE、距離減衰、震源断層モデル
2024年1月1日に能登半島珠洲市を震源とするMj7.6，震源深さ16km（気象庁）の大きな内陸地殻内地震（2024年能登半島地震）が発生した．このような大規模な地震で観測された強震波形から得られる地震動特性値の距離減衰特性と，経験式である強震動予測式（Ground Motion Prediction Equation : GMPE）との比較は，震源特性やサイト特性を把握するための一次情報として重要である．本研究では，これまでに公開されている複数の震源モデルや複数のGMPEを用いて，2024年能登半島地震の地震動特性値の距離減衰特性について検討を行った．なお，本検討は震源モデルやGMPEの優劣を区別するものではない．
ここでは，防災科学技術研究所のK-NET，KiK-netと気象庁の強震観測網の観測点の強震観測記録を使用した．比較に用いた地震動特性値は，最大加速度（PGA）と最大速度（PGV：帯域通過フィルタ：0.1－20 Hz）である．震源から観測点までの断層距離を計算するための有限断層モデルは，2024年3月31日現在までで公開されている震源モデルのうち，断層位置情報が詳細に得られる5つの震源モデルを使用した．また，比較に用いるGMPEは，司・翠川 (1999）（SM1999），Morikawa and Fujiwara (2013）（MF2013），Boore et al. (2013, 2014)（BSSA14），Cambell and Bozorgnia (2013, 2014)（CB2014）の4式とした．なお，NGA-West2には5つの研究グループがあるが，多くのGMPEが断層最短距離を主に使用している中，BSSA14は Joyner and Booreの距離（Rjb）のみで評価している為選定した．CB14は，NGA-West2の中でパラメータが最も多いことから選定した．NGA-West2の特徴としては上盤効果が考慮できる点が挙げられ，震源近傍で下盤側のGMPEを補正する形状となる．なお，2024年能登半島地震の観測点は舳倉島等の一部観測点を除き，多くが上盤側にあるため，NGA-West2のGMPEは上盤側の式を用いた．
観測地震動の距離減衰特性と地震動予測式との比較の結果，いずれの震源モデルでも，国内のGMPE（SM1999，MF2013）は観測PGAやPGVと全体的に同程度であることがわかった．また，国外のGMPE（BSSA14，CB2014）では，近傍地点では概ね評価できる傾向もみられたが，断層距離が20 km以遠の観測点では過小評価となる傾向が見られた．異なる震源断層モデルを複数用いたことで，特に震源近傍では，使用する震源断層モデルにより，距離が大きく変わる地点（例えば，ISK006：K-NET富来）もあるが，全体的な傾向としては，比較に用いた震源断層モデルの間で，明確な違いは見られず，特に国内のGMPEはよく対応していることがわかった．以上から，2024年能登半島地震は，過去経験した同等の規模の地震と震源特性の観点では，同程度の地震動であったと考えられる．ただし，これらの比較に用いたデータは，速報情報を含むものであり，今後の情報の更新を踏まえて再検討する必要がある．
謝辞：防災科学技術研究所のK-NET，KiK-net，および気象庁の強震記録を使用しました．
ここでは，防災科学技術研究所のK-NET，KiK-netと気象庁の強震観測網の観測点の強震観測記録を使用した．比較に用いた地震動特性値は，最大加速度（PGA）と最大速度（PGV：帯域通過フィルタ：0.1－20 Hz）である．震源から観測点までの断層距離を計算するための有限断層モデルは，2024年3月31日現在までで公開されている震源モデルのうち，断層位置情報が詳細に得られる5つの震源モデルを使用した．また，比較に用いるGMPEは，司・翠川 (1999）（SM1999），Morikawa and Fujiwara (2013）（MF2013），Boore et al. (2013, 2014)（BSSA14），Cambell and Bozorgnia (2013, 2014)（CB2014）の4式とした．なお，NGA-West2には5つの研究グループがあるが，多くのGMPEが断層最短距離を主に使用している中，BSSA14は Joyner and Booreの距離（Rjb）のみで評価している為選定した．CB14は，NGA-West2の中でパラメータが最も多いことから選定した．NGA-West2の特徴としては上盤効果が考慮できる点が挙げられ，震源近傍で下盤側のGMPEを補正する形状となる．なお，2024年能登半島地震の観測点は舳倉島等の一部観測点を除き，多くが上盤側にあるため，NGA-West2のGMPEは上盤側の式を用いた．
観測地震動の距離減衰特性と地震動予測式との比較の結果，いずれの震源モデルでも，国内のGMPE（SM1999，MF2013）は観測PGAやPGVと全体的に同程度であることがわかった．また，国外のGMPE（BSSA14，CB2014）では，近傍地点では概ね評価できる傾向もみられたが，断層距離が20 km以遠の観測点では過小評価となる傾向が見られた．異なる震源断層モデルを複数用いたことで，特に震源近傍では，使用する震源断層モデルにより，距離が大きく変わる地点（例えば，ISK006：K-NET富来）もあるが，全体的な傾向としては，比較に用いた震源断層モデルの間で，明確な違いは見られず，特に国内のGMPEはよく対応していることがわかった．以上から，2024年能登半島地震は，過去経験した同等の規模の地震と震源特性の観点では，同程度の地震動であったと考えられる．ただし，これらの比較に用いたデータは，速報情報を含むものであり，今後の情報の更新を踏まえて再検討する必要がある．
謝辞：防災科学技術研究所のK-NET，KiK-net，および気象庁の強震記録を使用しました．