日本地球惑星科学連合2024年大会

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[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

2024年5月28日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:45

[U15-P44] 2024年1月1日16時10分頃に石川県能登地方で発生した地震(最大震度7)の緊急地震速報利活用アンケート調査の速報について

*境 優佳1、町頭 大輔1久利 美和 (1.気象庁)

キーワード:緊急地震速報、利活用

【概要】
気象庁では緊急地震速報を一般向けに提供している。これは、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度等を可能な限り素早く知らせる情報である。
2024年1月1日16時10分頃に発生した石川県能登地方を震源とする地震(M7.6)では石川県輪島市と志賀町で最大震度7を観測し、気象庁は中部地方などの合計21県に緊急地震速報(警報)を発表した。
【調査】
気象庁は、この地震の緊急地震速報(警報)受信者を対象に、緊急地震速報の利活用状況に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査は、気象庁ホームページに質問票へのリンクを掲載してオンラインで回答いただく方式で行った。気象庁防災情報X(旧Twitter)を通じて回答を呼びかけたところ、11,405件の有効回答(警報対象領域:9,527件)を得た。
【結果】
警報対象領域にいた人々の約6割が緊急地震速報(警報)を見聞きした際に「何らかの行動をとって」おり、その行動のうち多かったものは「その場で身構えた」、「テレビやラジオ、携帯電話などで地震情報を知ろうとした」、「周囲から倒れてくる物がないか注意した」であったことが分かった。また、緊急地震速報を見聞きした際に「何もしなかった」人々が2割弱いることが分かった。何もしなかった主な理由は、「そのときいた場所が安全だと思ったから、すでに安全な場所に移動していたから」や「たいした揺れではないと思ったから」であった。揺れを感じたときの行動は、緊急地震速報を見聞きした際の行動と同様であった。揺れが収まってきたときの行動は、「テレビやラジオ、携帯電話などで地震情報を知ろうとした」が最も多く、次いで「家族や知人の安否を確かめた」の行動が多かった。
また、緊急地震速報に関する意見や知識に関して質問したところ、約8割が緊急地震速報の仕組みや趣旨を理解している一方、緊急地震速報に警報と予報の2種類あることについては、約3割と認知度が低いことがわかった。緊急地震速報に関する意見では、「迅速性」と「正確性」のどちらかを重視するかについて、「迅速性」を求めると回答した割合は約9割であった。また、2023年2月から緊急地震速報(警報)の発表基準に長周期地震動階級の予測を追加したが、約4割が知っていると回答しており、認知度が低い傾向であった。過去の調査と比較すると、2023年5月5日の石川県能登地方の地震(M6.5)でも同様な設問を設けており、同様な傾向となった。
【考察】
今回の地震では関東地方でも長周期地震動階級2を観測しており、高層ビル等では大きな揺れであったと考えられる。緊急地震速報(警報)の予測で長周期地震動階級を追加したことによる認知度が低いことがわかったため、今後も更なる普及啓発が必要である。なお、アンケート調査結果の速報資料は、気象庁ホームページで公開している。
今後は、緊急地震速報を見聞きした際の行動について、警報対象地域をまとめて統計処理を行っているが、各県や震度の大きい地域でどのような行動が多かったかなど、クロス集計を行って詳細に解析する予定である。
【ウェブサイト】
https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/shiryo/pre-survey/2024/20240101-ishikawa-brief.pdf