日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

2024年5月28日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

17:15 〜 18:45

[U15-P60] 【速報】震災前後の富山県における地下水の変化:沿岸域の栄養源としての地下水への影響

*勝田 裕大1張 勁1安江 健一1、Boungnaphalom Paviphone1、Zhang Bing2、高松 泉歩3、堀 信雄3 (1.富山大学、2.天津師範大学、3.株式会社 日さく)

キーワード:富山、水化学的変化、地下水

令和6年1月1日に起きた能登半島地震により、石川県、富山県、新潟県では大きな被害を受けた。能登半島地震の影響はインフラのみならず、陸上および海底の地形を大きく変動させたことが明らかになっている。富山県内の約30本の観測井戸のうち沿岸付近の井戸、及び庄川扇状地扇央部における地震前後の地下水位の変動を調査したところ、多くの井戸で水位が変動していることが明らかになった。これらは、浅井戸で水位変動が小さく、深井戸で水位変動が大きい傾向があり、国土地理院によるGPS変動の観測データとも調和的であった。また、庄川扇状地扇央部において、主要溶存成分、水安定同位体比(δD・δ18O)、シリカ濃度を測定した結果、地震前後で水質の変化がみられ、帯水層間での水の移動があったと考えられた。さらに富山湾の基礎生産を支える栄養塩は沿岸浅海域においては「2~4割の窒素が陸起源」であり、地下水が河川水と同程度の割合で寄与している。今回の地震により、陸域の地下水の流動状況や水質の変化することで、海底湧水を通じて、沿岸浅海域への影響も懸念される。今後、地下水位と水質の変化のあった井戸の継続調査と共に、海底湧水の湧出量、水質の変化についても評価していきたい。本発表では、水文モデルを用いた解析結果に合わせて詳細を紹介する予定である。