17:15 〜 18:45
[U15-P63] 電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)による令和6年能登半島地震に伴う地震時地殻変動と断層モデルの即時推定
キーワード:GNSS、GNSS連続観測システム、電子基準点リアルタイム解析システム、地殻変動、震源断層モデル、令和6年能登半島地震
GNSS観測によって得られる変位データは短周期地震計とは対照的に、巨大地震においても飽和せず、地震規模を過小評価することなく推定可能である。国土地理院では、2012年から東北大学大学院理学研究科との共同研究の下、GEONET(GNSS連続観測システム)で観測された国内約1,300点のGNSS連続観測データを用いて、リアルタイムに有限断層モデルを推定する、電子基準点リアルタイム解析システム(REGARD)の開発を進めてきた。REGARDは2016年から本格運用されており、これまで平成28年(2016年)熊本地震をはじめとした複数の地震において関係機関にリアルタイムで情報提供を行い、初動対応等に活用されてきた。今般の令和6年能登半島地震においても、地殻変動と断層モデルが即時的に推定されており、その結果について報告する。
1)地殻変動
能登半島を中心とした広い範囲で地震時地殻変動を捉えることに成功し、地震後約10分で関係機関に自動的に情報提供がなされた。水平地殻変動は震源近傍の「輪島」で約1.3m、「珠洲」で約80cmを観測したほか、新潟県から富山県にかけての沿岸部では数cm~20cm程度の北西向きの地殻変動場が得られた。上下は半島北岸の輪島では約1mに達したが、南岸の珠洲では約30cmと水平に比べ大きな空間勾配で変化する様子が捉えられた。これはGEONET定常解析(F5解)による後処理解析と概ね整合する結果である。
2)断層モデル
地震発生後約4分で北東-南西走向、南側隆起の逆断層に収束し、こちらも地震後約10分で関係機関に自動的に情報提供がなされた。地震規模はMw7.4程度と3枚の矩形断層で近似した国土地理院の後処理モデル(Mw7.44)と概ね一致する結果が得られた。一方で、REGARDでは傾斜角が約10度と低角に求められたが、後処理モデルでは3枚の矩形断層とも40~60度と比較的高角なモデルが得られた。この差異は、主として後処理モデルではリアルタイムデータの回収が困難な震源近傍の観測点のデータが取り込まれたことで、上下方向の空間勾配がより正確に考慮されたためと考えられる。
3)MCMCによる断層モデル
国土地理院では2)の最尤推定に代わってMCMCによる断層推定(Ohno et al., 2021)の導入を計画しており、現在、試験運用を行っている。MCMC法では現行の手法と比較して、パラメータ空間のより広い範囲を柔軟に探索することで、ノイズへの過適合の低減が期待される。能登半島地震では最尤推定による結果と整合的な形状を示しつつ、震源域の北東方向への広がりを表現することに成功した。また、推定アルゴリズムの高速化により地震発生後約3分で最終の推定結果が得られており、最尤推定に匹敵する即時性が確認された。
1)地殻変動
能登半島を中心とした広い範囲で地震時地殻変動を捉えることに成功し、地震後約10分で関係機関に自動的に情報提供がなされた。水平地殻変動は震源近傍の「輪島」で約1.3m、「珠洲」で約80cmを観測したほか、新潟県から富山県にかけての沿岸部では数cm~20cm程度の北西向きの地殻変動場が得られた。上下は半島北岸の輪島では約1mに達したが、南岸の珠洲では約30cmと水平に比べ大きな空間勾配で変化する様子が捉えられた。これはGEONET定常解析(F5解)による後処理解析と概ね整合する結果である。
2)断層モデル
地震発生後約4分で北東-南西走向、南側隆起の逆断層に収束し、こちらも地震後約10分で関係機関に自動的に情報提供がなされた。地震規模はMw7.4程度と3枚の矩形断層で近似した国土地理院の後処理モデル(Mw7.44)と概ね一致する結果が得られた。一方で、REGARDでは傾斜角が約10度と低角に求められたが、後処理モデルでは3枚の矩形断層とも40~60度と比較的高角なモデルが得られた。この差異は、主として後処理モデルではリアルタイムデータの回収が困難な震源近傍の観測点のデータが取り込まれたことで、上下方向の空間勾配がより正確に考慮されたためと考えられる。
3)MCMCによる断層モデル
国土地理院では2)の最尤推定に代わってMCMCによる断層推定(Ohno et al., 2021)の導入を計画しており、現在、試験運用を行っている。MCMC法では現行の手法と比較して、パラメータ空間のより広い範囲を柔軟に探索することで、ノイズへの過適合の低減が期待される。能登半島地震では最尤推定による結果と整合的な形状を示しつつ、震源域の北東方向への広がりを表現することに成功した。また、推定アルゴリズムの高速化により地震発生後約3分で最終の推定結果が得られており、最尤推定に匹敵する即時性が確認された。