[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-P62] GEONETで観測された令和6年能登半島地震に伴う地殻変動

*山田 晋也¹ (1.国土交通省国土地理院)

国土地理院が設置している電子基準点網（GEONET）において、日々の座標値（F5解）（村松ほか、2021）を用いて令和6年能登半島地震に伴う地殻変動を観測した。この概要について紹介する。
　
能登半島では2020年12月に地震活動が活発になり、半島北部の電子基準点（「珠洲」「輪島２」「能都」「輪島」）で定常とは異なる地殻変動が観測されていた。2022年7月には地殻変動観測を強化するため、珠洲市内の2点（「M珠洲狼煙」「M珠洲笹波」）に可搬型GNSS連続観測装置（REGMOS）を設置し、電子基準点と合わせた解析を行い、地殻変動を監視している。
2023年5月5日に能登半島沖でM（マグニチュード）6.5の地震が発生したときは、REGMOS観測点の「M珠洲笹波」で約9cmの水平変動、「M珠洲狼煙」で約13cmの隆起などの地殻変動が観測されたほか、地震後も能登半島北部の複数の観測点で余効変動と考えられる変動が観測されていた。
2024年1月1日に石川県能登地方でM7.6の地震が発生した。この地震に伴い、「輪島２」観測点で2.0ｍ程度の南西方向への水平変動、1.3ｍ程度の隆起が見られるなど、能登半島を中心に非常に大きな地殻変動が観測された。また、新潟県、富山県の日本海側だけでなく、東北地方、関東地方、中部地方にまたがる広い範囲で地殻変動が観測された。Ｍ7.6の地震後も広い範囲で余効変動と考えられる変動が観測されている。

以上の各イベントについて、各観測点の変動ベクトル図や基線変化の時系列グラフおよびトレンド除去などの統計的な処理内容について示し、地殻変動の移り変わりを概観する。