11:15 〜 11:30
[ACG46-08] 富士北麓カラマツ林群落上における大気水銀濃度変動
キーワード:大気水銀、カラマツ林、季節変動、原子蛍光分析
2017年に水銀に関する水俣条約が発効され、水銀は地球環境汚染物質として研究および対策が講じられている。陸域生態系は、生物地球化学的反応によって土壌中でガス状金属水銀(GEM)が生成されることから、大気への主要な水銀放出源となっているのと同時に、樹葉が水銀吸収能力を有する事から、主要な吸収源の1つとして知られている。そこで、富士北麓に広がる落葉樹のカラマツの大気水銀吸収能力を理解するために、2024年2月から樹上のGEM濃度を原子蛍光装置(Tekran2537x)で連続的に計測している。季節的な平均値の比較では、夏季と秋季の1.36 ng/m3が、冬季の1.53 ng/m3と春季の1.57 ng/m3よりも低い値を示した。また、夏季の標準偏差(2SD)が他の季節よりも大きく、カラマツの葉量が大きくなる季節にGEM濃度が最大と最小を示し、そして濃度が比較的大きく変動していた。月平均値で比較すると、9月の平均濃度が1.24 ng/m3 (n = 4181)と一番低く、4月は1.65 ng/m3 (n = 4230)で比較的高い値を示した。そして、10月の標準偏差が0.49と一番大きく、12月は0.23と最も小さかった。北半球の平均的なGEM濃度は1.5~1.6 ng/m3であり、富士北麓では、2月から5月、そして11月と12月の平均値が北半球の平均値と同等であった。一方、6月から10月までの平均値は北半球の平均値よりも11~17%程度低かった。これらに加えて、比較的月平均値が低く、標準偏差が大きい夏季と秋季は総じて日中のGEM濃度が夜間よりも高い傾向を示した。こうしたGEM濃度変動は、国内の他の地点では観測されておらず、カラマツ林群落上は他と異なる濃度変動をする事が明らかになった。