日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG55] 分野横断型気候シナリオ研究:方法高度化とエミュレータとの融合

2025年5月29日(木) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:筒井 純一(電力中央研究所)、杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター)、高橋 潔(国立研究開発法人国立環境研究所)

17:15 〜 19:15

[ACG55-P01] Minimal CMIP Emulator(MCE):包括的な確率論的気候予測に向けた更新

*筒井 純一1 (1.電力中央研究所)

キーワード:エミュレータ、確率論的気候評価、制約、排出シナリオ

気候モデルエミュレータ(簡略化気候モデル)は、複雑な地球システムモデル(ESM)の高コスト計算を代替し、気候予測の大規模アンサンブルによる確率論的気候評価が主な用途となる。このアンサンブルではモデルのパラメータや外的な気候強制因子に摂動を加える。アンサンブルのメンバーは、通常、複数のESMに基づいてサンプリングし、各種の観測・プロセス理解に基づいて制約する。このサンプリングと制約は、実質的に、気候評価のベースとなるエビデンスを統合するもので、エミュレータはその基盤を担っている。
制約された事後アンサンブルは、長期的な気候緩和の1.5度目標に整合的かどうかといった、排出シナリオに対する確率論的気候評価に直結する。IPCC第6次評価報告書に向けた簡略化モデル相互比較プロジェクトでは、様々なモデルと方法による事後アンサンブルが比較された。筆者はこのプロジェクトに独自のモデル(MCE)を用いて参加し、そのアンサンブルが良好な品質であることを示した。以降、MCEはさらに広く活用されるよう機能拡充と透明性向上の更新を続けている。
本発表では次の4点の更新について説明する:(1)非CO2強制因子のフル実装、(2)全球炭素収支における人為的な土地由来CO2排出量の扱い、(3)汎用的な制約方法、(4)様々な実行方式のためのユーザインターフェイス。さらに典型的な応用例として、近年の顕著な温暖化傾向が事後アンサンブルとシナリオ評価におよぼすインパクトを試算する。