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[G04-P05] 教科横断型の防災学習を想定した児童の地震災害リスク認識の基礎調査―兵庫県淡路市の小学校における事例―
キーワード:防災教育、アンケート、兵庫県南部地震、リスク認識、実態把握、教科横断
脆弱な国土に存在する日本では,その災害リスクを把握するために土地被覆改変図を用いた地すべり予測や海陸断層の調査など多様な分析が行われ,リスク認知の資料として活用されてきた.一方,防災教育においては,多様な内容を含む学習展開が望まれているにもかかわらず,避難訓練のみの教育を脱しきれないことが指摘されている.リスクや災害メカニズムを理解する基礎的な学習を教科横断型に展開することなど,自然災害を多面的に理解する学習が求められている.地震災害においては,発生位置の把握を行うことや発生年月から地震の周期性を学び,リスク認識を高める学習展開が考えられる.しかし,児童のリスク認識や実態を把握しておかなければ体系的な学習は困難である.そこで,本研究では教科横断型の防災学習の実践を想定した児童の地震災害リスク認識の基礎調査を実施した. 対象者は,淡路市にある小学校3校の小学1~6年生の計682名である.全ての小学校は1995年に発生した兵庫県南部地震において震度6強 を記録し,かつ今後30年でマグニチュード7クラスの地震発生が考えられる淡路島・六甲断層帯が校区に存在している.児童を対象として,(1)兵庫県南部地震をどのように認識しているか,(2)2次災害の認識,(3)備えの知識,(4)家族での話し合いの頻度,(5)避難行動の自信,(6)地震についての疑問,の6項目についてアンケート調査を実施した.その結果,(1)兵庫県南部地震がいつ発生したのか知っていると答えた児童は,5・6年生において68%(全体では45%)であった.一方,地震による津波が発生したかについての正答率が5・6年生において35%(全体では28%)であった.対象校はいずれも南海トラフ地震を想定した避難訓練を行い,教科書内容からも南海トラフ地震をベースとした学習を行っている.地震によって必ず大きな津波が発生するという認識があると考えられる.(4)家族での話し合い回数は,複数とした児童は1年生で28%であり,学年が上がるにつれて上昇し,6年生で52%であった.また,家族への話し合い回数が0回,1回と答えた児童と比較して,複数と答えた児童に備えの認識が高かった.先行研究でも,防災教育において児童が最も学習したい項目は「備蓄・備え」であったとされており,家族の話し合いでも備えについて活発に行われていると考えられる.(6)地震発生のメカニズムや地震の発生はどのように予測できるのかといった科学的な疑問を持つ児童が1年生から50%以上存在することも明らかとなった.地震に関する基礎的な知識は生活の中で十分得ているという指摘もあり,生活や訓練の中で知識だけでなく、地震や津波のメカニズムや予測方法についての関心が高まっていると考えられる.
