日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG03] ⾃然資源・環境に関する地球科学と社会科学の対話

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:古市 剛久(森林総合研究所)、上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、小田 隆史(東京大学)、座長:古市 剛久(森林総合研究所)、小田 隆史(東京大学)


14:15 〜 14:30

[HGG03-03] 途上国における山地減災・防災での自然を基盤とした解決策とプロジェクト実施におけるコミュニティ参画の課題

*瀧永 佐知子1、古市 剛久2,3、稲田 徹1 (1.アジア航測株式会社、2.森林総合研究所、3.サンシャインコースト大学)

キーワード:気候変動、自然災害、減災・防災、コミュニティ参画、国際協力

1.はじめに
近年、開発途上国では経済の発展とともに山岳地域や沿岸域における森林から農地への土地転換等の土地利用改変が進んでおり、その影響が気候変動に伴う極端現象の頻発化及び強化と相まって山地災害をより頻発化,激甚化させている可能性が指摘されている。我が国では山地地域において、森林生態系の持つ減災機能を活用した斜面崩壊リスクの削減,すなわち治山技術を蓄積してきた歴史があり,その技術を二国間ベースでの途上国援助において活用する取り組みもなされてきた.これまで、途上国での治山技術の適用可能性に関する技術面での課題が多く議論されてきたが、その技術の導入のためには山地治山に対する現地コミュニティの理解や参画を促進することも非常に重要な課題である。本発表では、途上国での山地治山に関する現地コミュニティの理解・参画・活用を促進する取り組み事例を、資料調査、ヒアリング調査、現地調査を通じて整理し見えてきた課題について考察した。

2.自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions:NbS)
近年,国際開発の舞台では,生態系を活用した防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction:Eco-DRR)や自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions:NbS)が注目されている。特に世界銀行は「気候変動へのレジリエンス強化へ向けた自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions for Climate Resilience)」 をテーマにしたプログラムを立ち上げて組織的な対応を強力に進めており,また,世界食糧機関(FAO)の森林部門でもNbSについては活発に議論されている状況にある.山地の緑化と補助的な構造物を組合わせ,中長期的な土地利用計画の下で実施されることを基本的なアプローチとする日本の治山技術は,世界銀行やFAOなどで進むこうした取り組みや議論への親和性がとても強いと考えられる.