17:15 〜 19:15
[HGM04-P17] 反射スペクトル特性を用いた塩類の析出マップとくぼみの関係
キーワード:塩類風化、タフォニ状のくぼみ、砂岩、分光反射率
海水飛沫帯におけるくぼみの成長の主因は,海水の供給と日射による塩類風化を介在した波の侵食であると示唆されている.一方で,塩類風化を引き起こす塩類の析出や付着分布を定量的に計測した事例はない.そこで本研究では,岩石表面における塩類の付着分布とくぼみの成長の関係を明らかにすることを目的とし,塩類の析出・付着をマッピングする手法を検討し,解析した.
調査地域は宮崎県の日南海岸と青島をつなぐ弥生橋の橋脚である.この橋脚は1951年に建設され,青島の基盤である砂泥互層(新第三系宮崎層群)の砂岩を用いたブロックでできている.橋脚の側面は計144個のブロックで構成され,ブロックの層は下から上へ1層目から11層に区分される.このブロックの表面は73年の年月をかけて風化侵食され,くぼみが形成されている.このくぼみの深さは砂岩ブロック表面の方位,高度ならびに橋脚の位置によって異なっており,1970年代以降,くぼみの形成および塩類風化に関する研究が継続的に行われてきた.
本研究では,岩石表面の塩類の析出・付着をマッピングする手法を確立するため,岩石表面の反射スペクトル特性を計測した.反射スペクトル特性とは,物質が光を反射または放射する際の波長の強度分布を示すものであり,物質の形状や構成元素により固有の強度を持つ.計測の結果,塩類のスペクトル特性を顕著に検出できた.これらをもとに作成した橋脚南面の塩類マップから,塩類濃度は橋脚における平均満潮位直上の4層~6層で高く,一方で8層~11層で低い傾向が見られた.また,塩の濃度とくぼみ体積には0.5程度の正の相関が見られ,塩の析出・付着濃度が高いほどくぼみは大きくなる関係が確認できた.したがって,塩の付着分布,すなわち塩類風化が砂岩ブロックのくぼみ形成の主因であると示唆された.
加えて,橋脚竣工後20年目,38年目,50年目,73年目のくぼみ深さを比較した結果,全体的に深さの増加率は減少傾向を示したものの,特定の層では高い増加率が確認できた.この主因は,くぼみ深さが増しても塩類風化の進行は抑制されず,依然として高い風化ポテンシャルが維持されていることが挙げられる.今後は,塩類析出メカニズムや経時的な塩類の分布変化を分析し,くぼみの形成過程を解明する必要がある.
今回開発した反射スペクトル特性を用いた解析手法は,塩類分布の可視化に有効であり,他の地域や構造物への適用が期待される.また,マルチ・ハイパースペクトルカメラの技術を活用し,面的に塩の分布を取得する簡易的な計測手法の開発も望まれる.
調査地域は宮崎県の日南海岸と青島をつなぐ弥生橋の橋脚である.この橋脚は1951年に建設され,青島の基盤である砂泥互層(新第三系宮崎層群)の砂岩を用いたブロックでできている.橋脚の側面は計144個のブロックで構成され,ブロックの層は下から上へ1層目から11層に区分される.このブロックの表面は73年の年月をかけて風化侵食され,くぼみが形成されている.このくぼみの深さは砂岩ブロック表面の方位,高度ならびに橋脚の位置によって異なっており,1970年代以降,くぼみの形成および塩類風化に関する研究が継続的に行われてきた.
本研究では,岩石表面の塩類の析出・付着をマッピングする手法を確立するため,岩石表面の反射スペクトル特性を計測した.反射スペクトル特性とは,物質が光を反射または放射する際の波長の強度分布を示すものであり,物質の形状や構成元素により固有の強度を持つ.計測の結果,塩類のスペクトル特性を顕著に検出できた.これらをもとに作成した橋脚南面の塩類マップから,塩類濃度は橋脚における平均満潮位直上の4層~6層で高く,一方で8層~11層で低い傾向が見られた.また,塩の濃度とくぼみ体積には0.5程度の正の相関が見られ,塩の析出・付着濃度が高いほどくぼみは大きくなる関係が確認できた.したがって,塩の付着分布,すなわち塩類風化が砂岩ブロックのくぼみ形成の主因であると示唆された.
加えて,橋脚竣工後20年目,38年目,50年目,73年目のくぼみ深さを比較した結果,全体的に深さの増加率は減少傾向を示したものの,特定の層では高い増加率が確認できた.この主因は,くぼみ深さが増しても塩類風化の進行は抑制されず,依然として高い風化ポテンシャルが維持されていることが挙げられる.今後は,塩類析出メカニズムや経時的な塩類の分布変化を分析し,くぼみの形成過程を解明する必要がある.
今回開発した反射スペクトル特性を用いた解析手法は,塩類分布の可視化に有効であり,他の地域や構造物への適用が期待される.また,マルチ・ハイパースペクトルカメラの技術を活用し,面的に塩の分布を取得する簡易的な計測手法の開発も望まれる.
