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[HQR05-16] アナトリア中部ナール湖年縞堆積物の特徴と高解像度古気候・古環境復元の可能性
キーワード:アナトリア中部、ナール湖、年縞堆積物、洪水層
千葉工大地球学研究センターでは、2020年以降、今から約12000年前の文明の始まりに焦点を当てたアナトリア東南部ウルファ地域での遺跡発掘と、今からおよそ4300年前における製鉄技術の発明~ヒッタイト帝国の出現に焦点を当てたアナトリア中央部カマン地域での遺跡調査をアナトリア考古学研究所(JIAA)の支援のもと行ってる。これらの遺跡において考古学的に確立された文化編年に、より正確な年代目盛りを入れるとともに、復元された古気候・古環境変動記録とより精度高くかつ詳細に対比するためには、アナトリア中部において過去~12000年間を高い年代解像度および精度で連続的にカバーする標準年代尺と、それに直接紐づけられた標準的古気候・古環境変動記録を確立する必要がある。そこで、千葉工大、信大、島根大合同の古環境復元チームは、トルコ鉱物資源調査・探査総局(MTA)およびJIAAと共同して、アナトリアにおける文明の転換点や技術革新に古気候・古環境変動がどう拘わっていたかの解明を目的として、昨年から共同研究をスタートさせた。
年縞堆積物とは、1年1年の堆積層が厚さ数百μm~数mmの縞として連続的に堆積した地層で、1年あるいは季節単位の時間解像度を持つ。中央アナトリアでは、火口湖であるナール湖において過去12000年以上に渡って年縞と思われる厚さ1㎜前後の明灰色・暗灰色の葉理対をもつ堆積物が連続的に堆積していることが報告されており、いくつかの微化石や同位体分析を用いて、古環境復元も試みられている。しかし①縞が本当に年縞なのか、②どの様なメカニズムで形成されたのかは十分検証されておらず、③正確かつ高解像度の年代尺は確立しておらず、④堆積物がどの様な古環境情報を持っているかについても、いくつかの項目について断片的に示されているに過ぎない。そこで我々は2024年夏に予察的にナール湖の掘削を行い、湖中央東部で長さ約1.2mのコアを、北東部で長さ16cmのコアを採取し、上記①~④を念頭に予察的観察・分析を開始した。
その結果、夏(乾季)におけるアラゴナイトあるいはカルサイト微結晶の無機的沈殿により明色葉理が、冬~春(雨季)における細粒砕屑物件濁水の流入により暗色葉理が堆積することで明暗葉理対が形成された事が明らかになった。また、暗灰色の極細粒砂薄層が頻繁に介在されるが、これらがクレーターの南内壁の崖を起源とし、大雨時の混濁水の流入により形成されたことも明らかになった。発表では予察的分析結果を紹介し、ナール湖堆積物が優れた標準年代尺となる可能性、そこからどのような古環境変動を引き出せるか、引き出した古環境情報の意義などについても概説する予定である。
年縞堆積物とは、1年1年の堆積層が厚さ数百μm~数mmの縞として連続的に堆積した地層で、1年あるいは季節単位の時間解像度を持つ。中央アナトリアでは、火口湖であるナール湖において過去12000年以上に渡って年縞と思われる厚さ1㎜前後の明灰色・暗灰色の葉理対をもつ堆積物が連続的に堆積していることが報告されており、いくつかの微化石や同位体分析を用いて、古環境復元も試みられている。しかし①縞が本当に年縞なのか、②どの様なメカニズムで形成されたのかは十分検証されておらず、③正確かつ高解像度の年代尺は確立しておらず、④堆積物がどの様な古環境情報を持っているかについても、いくつかの項目について断片的に示されているに過ぎない。そこで我々は2024年夏に予察的にナール湖の掘削を行い、湖中央東部で長さ約1.2mのコアを、北東部で長さ16cmのコアを採取し、上記①~④を念頭に予察的観察・分析を開始した。
その結果、夏(乾季)におけるアラゴナイトあるいはカルサイト微結晶の無機的沈殿により明色葉理が、冬~春(雨季)における細粒砕屑物件濁水の流入により暗色葉理が堆積することで明暗葉理対が形成された事が明らかになった。また、暗灰色の極細粒砂薄層が頻繁に介在されるが、これらがクレーターの南内壁の崖を起源とし、大雨時の混濁水の流入により形成されたことも明らかになった。発表では予察的分析結果を紹介し、ナール湖堆積物が優れた標準年代尺となる可能性、そこからどのような古環境変動を引き出せるか、引き出した古環境情報の意義などについても概説する予定である。