日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI29] データ駆動地球惑星科学

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:上木 賢太(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、伊藤 伸一(東京大学)、板野 敬太(秋田大学)、宇野 正起(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

17:15 〜 19:15

[MGI29-P04] 主成分分析による月試料の分類の試み

*河田 將翔1新原 隆史1、日野 英逸2 (1.岡山理科大学、2.統計数理研究所)

キーワード:月試料、PCA

月の表層進化過程については、月面からのリターン試料や月起源隕石の詳細な分析が行われることで明らかとなってきた[e.g.1-5]。月の表層進化は、初期のマグマオーシャンでの物質分別過程や、後期重爆撃による月表層地殻の変化やそれに付随した火山活動など様々まである。これらの地質学的イベントの記録は岩石の全岩化学組成や同位体分析により詳細な研究が行われている[4,5]。個々の月試料や月隕石の分類は、研磨薄片を用いた岩石・鉱物学的観察や全岩化学組成を基に確立されているが、サンプル間の関連性などは系統的には把握されていない。そこで本研究ではアポロ試料の全岩化学組成をコンパイルし、主成分分析を行うことでサンプルの分類と関連性を導こうとしている。月面試料や月隕石の分析データを論文およびAstromat[6]から抽出しデータベースを作成した。全岩化学組成データから10個の酸化物SiO2, TiO2, Al2O3, Cr2O3,FeO, MnO, CaO, MgO, Na2O, and K2O (wt.%)を抽出した。
主成分分析の結果、斜長岩に分類される月隕石は、アポロ16号のサンプルのプロット位置に近い位置にプロットされており、類似していることがうかがえる。アポロ16号は唯一、斜長岩で構成している月の高地に着陸しており、月隕石の岩石学的な特徴と一致している。斜長岩質の角礫岩に分類されている月隕石は様々な組成範囲を示しており、アポロ試料と一致するものは少なかった。これは角礫化する際に様々な岩石が混合したためと考えられ、今後端成分を明らかにすることで、混合比が得られる可能性がある。玄武岩に分類されている月隕石は、主に玄武岩で構成されているインブリウム盆地に着陸したアポロ15号により採取された岩石(玄武岩)が類似しており、同様に海地形に着陸した14・17号の試料とも類似している。月表面での玄武岩の分布は、主に表側の海地形に集中しており、玄武岩質の月隕石はこれらの海地形を由来する可能性がある。本分析結果では、月の岩石について大まかに分類することに成功しているが、今後、端成分を明らかにすることで月地殻に存在する岩石の分類を目指す。また、インターラボラトリーでの誤差を評価することが課題となる。

参考文献
[1] Lucey et al., 1998, Journal of Geophysical Research-Planets, 103, 3679-3699. [2] Jolliff et al., 2000, Journal of Geophysical Research, 105, 4197-4216. [3] Warren, 1993, American Mineralogist 78, 360-376. [4]Korotev, 1994, Geochimica et Cosmochimica Acta, 58, 3931-3969. [5] Niihara et al., 2019, Meteoritics and Planetary Science 54, 675-698. [6] The Astromaterials Data System (Astromat). URL: https://www.astromat.org/