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[MIS12-P07] 立山室堂山の氷河地形調査から推定する最終氷期における室堂平付近の氷河変動史

立山室堂平周辺は、火山噴出物と氷河堆積物の対比によって、氷河の拡大期を推定することが出来る重要な地域である。最終氷期後半(立山亜氷期)において、室堂平の堆積物が立山火山(気象庁名:弥陀ヶ原火山)側の岩石を含んでいることから(川澄, 2000)、室堂平を覆っていた氷河は、現在の室堂山、国見岳、および天狗山の南側にあった旧立山火山から流れていたと考えられる。しかし、旧立山火山があったとされる地域は現在成層火山の山体が侵食されて立山カルデラと呼ばれる巨大な凹地になっており、その存在を示す証拠は頭部を欠いた氷食谷以外にはほとんど残されていない(小林, 1990)。本研究では、氷河の変動史をより深く理解するために、室堂山においてこれまで調査されてこなかった小規模な氷河地形、特にロッシュムトネに着目し、ドローンによる高解像度のデジタル標高モデルとオルソ画像を用いた解析を行った。また、並行して現地調査を行いロッシュムトネ上面に分布している氷河擦痕の分布と方位を記載した。調査の結果、ロッシュムトネは主に玉殿溶岩の溶岩堤防上に分布し、北から北西方向に配向していることが判明した。氷河擦痕については、北向きと北西向きの2方向が確認された。これらの結果から、最終氷期後半において室堂山の氷河は、北向きに流動した時期と北西向きに流動した時期があったことが示唆される。北向きの流動は、室堂平中央付近への方向を示しており、立山亜氷期に室堂平を覆っていた氷河は室堂山方向から流入していた地形的な証拠を得ることが出来た。今後、現地調査によって、この2つの氷河の流れの前後関係の解明を目指す。
川澄隆明,氷成堆積物と火山噴出物からみた立山に おける後期更新世前半の氷河前進期.地理学評論 73A: 26‒43, 2000.
小林武彦,立山火山とその周辺の第四系.日本地質学会第 97 年学術大会見学旅行案内書: 111‒145, 1990.
川澄隆明,氷成堆積物と火山噴出物からみた立山に おける後期更新世前半の氷河前進期.地理学評論 73A: 26‒43, 2000.
小林武彦,立山火山とその周辺の第四系.日本地質学会第 97 年学術大会見学旅行案内書: 111‒145, 1990.