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[MIS14-08] 三重県霧穴産石筍の安定酸素・炭酸凝集同位体組成が示す過去8万年間の気温・降水共変動史
キーワード:石筍、古気候、炭酸凝集同位体、東アジアモンスーン
鍾乳洞内に発達する石筍の安定酸素同位体比は、カルサイト沈殿時の温度と天水に由来する洞窟水の酸素同位体組成を反映しており、陸域の古気候情報を紐解く重要な手がかりとなっている。しかし、これらの2つの要素を石筍δ18OCの情報のみに基づいて分離することは不可能である。炭酸デュアルクランプトアイソトープ温度計は、石筍から古温度情報を独立して復元する手段である。炭酸凝集同位体(クランプトアイソトープ)温度計では、結晶中の13C-18O 結合の存在度異常(Δ47) を温度情報に読み替えるが、デュアルクランプトアイソトープ温度計ではさらにΔ48の指標も併用し、石筍のΔ47値に特有の非平衡効果を補正することで、正確な温度復元が可能となる。
発表者らは、三重県の霧穴から採取した石筍KA03(5.2–13.2, 22.6–83.4 ka: Mori et al., 2018)の60層準以上からΔ47値とΔ48値を測定し、ハインリッヒイベントH2–7に対応する周期的な寒冷化イベントやヒプシサーマル期をピークとした完新世の温暖化復元できた。
また、石筍δ18OCから温度変化による変動成分を差し引くことで、陸域の気温変化に対応した降水現象の変動も復元することができた。
数百年以上の時間スケールの変動に着目すると、復元された過去の降水のδ18OWは、温暖(寒冷)な時期に高い(低い)値をとっている。最終氷期(更新世後期)の降水酸素同位体比は完新世より低い値であり、ハインリッヒ氷期やヒプシサーマルの温暖期のような数百年規模の寒冷化/温暖化現象に対応して、地域の平均的な降水酸素同位体比が変動してきたことが明らかになった。これらの事実は、Kato et al. (2021; 2023) によってすでに報告された他地域のデータとも同調的であり、温暖化や寒冷化の気候ステージに対応した夏季/冬季アジアモンスーンの交互的盛衰を反映したものであると考えられる。
引用文献
Guo, W. & Zhou, C. 2019. GCA 267, 196–226.
Guo, W. 2020. GCA 268, 230–257.
Kato et al., 2021. QSR 253, 106746.
Kato et al., 2023. Chem. Geol. 622, 121390.
Mori et al., 2018. QSR 192, 57–58.
発表者らは、三重県の霧穴から採取した石筍KA03(5.2–13.2, 22.6–83.4 ka: Mori et al., 2018)の60層準以上からΔ47値とΔ48値を測定し、ハインリッヒイベントH2–7に対応する周期的な寒冷化イベントやヒプシサーマル期をピークとした完新世の温暖化復元できた。
また、石筍δ18OCから温度変化による変動成分を差し引くことで、陸域の気温変化に対応した降水現象の変動も復元することができた。
数百年以上の時間スケールの変動に着目すると、復元された過去の降水のδ18OWは、温暖(寒冷)な時期に高い(低い)値をとっている。最終氷期(更新世後期)の降水酸素同位体比は完新世より低い値であり、ハインリッヒ氷期やヒプシサーマルの温暖期のような数百年規模の寒冷化/温暖化現象に対応して、地域の平均的な降水酸素同位体比が変動してきたことが明らかになった。これらの事実は、Kato et al. (2021; 2023) によってすでに報告された他地域のデータとも同調的であり、温暖化や寒冷化の気候ステージに対応した夏季/冬季アジアモンスーンの交互的盛衰を反映したものであると考えられる。
引用文献
Guo, W. & Zhou, C. 2019. GCA 267, 196–226.
Guo, W. 2020. GCA 268, 230–257.
Kato et al., 2021. QSR 253, 106746.
Kato et al., 2023. Chem. Geol. 622, 121390.
Mori et al., 2018. QSR 192, 57–58.
