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[MIS15-14] 最終間氷期MIS 5eにおける南極前線帯および偏西風の南下とその気候システムへのインパクト
キーワード:南大洋、最終間氷期、南極前線、偏西風
最終間氷期のピークである海洋酸素同位体ステージ(MIS)5eは、将来の温暖化地球の類型時代の一つである。南大洋インド洋区の堆積物コアの最近の研究によって、現在進行中の間氷期と最終間氷期の間の重要な違いが浮き彫りになってきた。ここでは、我々のグループが得た最近の成果をまとめ、MIS 5eにおける南インド洋の古海洋ダイナミクスと全球気候変動について議論する。MIS 5eをカバーする海洋コアは主にデルカノライズ、クローゼ海台、ケルゲレン海台、エンダービー海盆で採取された。珪藻群集に基づく表層水温は、現代に比べてMIS 5eでおよそ2℃程度高く、放散虫群集に基づく亜表層水温も約1℃高い傾向を示す。浮遊性微化石の群集変化も交えて検討すると、これらのデータはMIS 5eにおいて南極周極流とそれに関連する南極前線および亜南極前線が現代の位置よりも南下していたことを示している。特に、海洋前線の地形的制約となるコンラッドライズとケルゲレン海台近傍では、南極前線の位置が緯度にして5度程度南に移動し、コンラッドライズの南側とケルゲレン海台のファウントラフまで南下していたと考えられる。このような最終間氷期における水温上昇と前線帯の南下は、偏西風帯の南下と海氷面積の減少を伴っていた。これらのプロセスは、海洋と大気のフィードバック、つまり物理的および生物地球化学的フィードバックによる南大洋から大気へのCO2放出をさらに増幅させ、地球温暖化を促進し、地球規模の熱塩循環に影響を与えていたと推測される。また、これらのプロセスは南極棚氷の底面融解の増加に寄与し、地球規模の海面水位に影響を与えた可能性が高い。現代の南大洋で観測されている諸現象とほぼ同様の現象が過去の温暖期で増幅して起こっていたことを示していることから、これらのデータは将来の南大洋気候に対する自然からの警告となる。
