日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS20] 海底のメタンを取り巻く地圏-水圏-生命圏の相互作用と進化

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (2) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:宮嶋 佑典(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 地圏微生物研究グループ)、浅田 美穂(産業技術総合研究所)、ジェンキンズ ロバート(金沢大学理工研究域地球社会基盤学系)、青木 伸輔(香川大学農学部)、座長:宮嶋 佑典(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 地圏微生物研究グループ)、青木 伸輔(香川大学農学部)

14:30 〜 14:45

[MIS20-03] 表層型メタンハイドレート賦存域周辺における深海性甲殻類の幼生分散および遺伝的連結性

*齋藤 直輝1、依藤 実樹子1、喜瀬 浩輝1鈴木 淳1、井口 亮1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所)

キーワード:環境影響評価、海流、集団遺伝学、日本海

底生海洋生物の多くは、浮遊幼生期の分散によって生息域間を移住する。個体移住の経路や生息域間のシンク・ソース関係を理解することは、環境管理のための基礎となる。本研究では、表層型メタンハイドレート賦存域周辺における漁業対象種であるベニズワイガニChionoecetes japonicusとホッコクアカエビPandalus eousの生息地間の移住を推定するために、幼生分散モデリングと集団遺伝学的解析を行った。日本海の島根沖から北海道沖まで、複数地域で遺伝子サンプルを取得し、サンプリング地域間の幼生分散をモデル化した。幼生分散モデリングにより、ベニズワイガニは最大で750 km以上離れた生息地間を分散できることが示唆された。南側の生息地は、対馬海流に沿って北側へと多くの幼生を供給した。これらの分散パターンは、集団遺伝解析と整合的であった。ベニズワイガニより短い浮遊幼生期間と深い分散水深が報告されているホッコクアカエビについては、分散距離が比較的短く、遠方の生息地間の分散は生じなかった。一方で、集団遺伝学解析はすべての生息地間で強い遺伝的連結性を示した。ホッコクアカエビは、直接の分散よりも、飛び石分散や成体の遊泳を通じて遠方の生息地間を移住している可能性がある。本研究は、表層型メタンハイドレート賦存域周辺における深海性甲殻類の生態を理解し、効果的な環境管理を計画することに貢献し得る。

[本研究は、経済産業省のメタンハイドレート研究プロジェクトの一環として実施された。]