15:00 〜 15:15
[MIS20-05] 琉球海溝北部海底泥火山群における海底下深部流体の供給
キーワード:間隙水、炭化水素ガス、泥火山、琉球海溝
海底泥火山は高間隙水圧を持つ堆積物が上昇し噴出して形成された地形であり,地下深部由来の流体を海水中に放出する。日本近海では,熊野海盆と種子島沖に分布しており,近年,日向灘と喜界島沖にも分布していることが明らかになっている。2023年8月に日向灘と喜界島沖の泥火山群を中心に海洋調査を行い,日向灘で5山,種子島沖で2山,喜界島沖で5山から堆積物を採取した。本研究では,堆積物中の間隙水・ガスの化学・同位体組成を測定し,日向灘,種子島沖,喜界島沖海底泥火山の表層堆積物中の流体の起源について考察した。
間隙水のCl⁻濃度は,すべての泥火山の堆積物コアにおいて表層から下部にかけて減少しており,低いCl⁻濃度の流体が深部から表層に供給されていることを示している。間隙水のδDとδ18Oは,Cl⁻濃度の低下と共にδD値が低くδ18O値は高くなる傾向を示した。この傾向は粘土鉱物の脱水由来の淡水が加わることにより低Cl-濃度となった水が地下深部から供給されていることを示している。Cl⁻濃度の深度方向への減少傾向は泥火山ごとに異なる。移流拡散モデルを用い上方への移流速度を求めたところ,特に喜界島沖と種子島沖北部海底泥火山で移流速度が大きいことが確認された。
間隙水中のLi濃度は,深度方向に上昇し,低Cl⁻濃度の泥火山で高Li濃度を示した。Li・Na地化学温度計を用いて流体の経験温度を見積もると,すべての海域の泥火山の温度は誤差範囲で一致し,平均130℃であった。この起源温度と種子島沖の地温勾配を適応すると,高Li濃度の流体が海底下2.6~5.2 kmから供給されていると推定される。また,高Li濃度を示した泥火山のδ7Li値は,Cl⁻/Li濃度比の減少に伴い低くなり,熱水域で見られる低δ7Li値高Li濃度の流体が,地下深部から供給され,海水と混合していることが示唆された。喜界島沖,種子島沖,日向灘の海域によらず分析を行った泥火山のδ7Liがこの混合線上にプロットされたため,これらの海域の泥火山の流体中に含まれるLiの起源は同様であると考えられる。
各泥火山の堆積物中のメタンの炭素同位体比は,メタンが熱分解起源であることを示した。メタンは,有機物が熱分解する高温下(>80˚C)で生成し,海底表層まで供給されていることを示す。
本研究では,琉球海溝沿いに喜界島沖から日向灘まで,広範囲での泥火山流体の起源の推定・考察を行った。調査を行った全ての海域の泥火山で,熱分解起源によるメタンの生成が起こり,粘土鉱物の脱水反応が起こる深度から流体が上昇していることが明らかとなった。
間隙水のCl⁻濃度は,すべての泥火山の堆積物コアにおいて表層から下部にかけて減少しており,低いCl⁻濃度の流体が深部から表層に供給されていることを示している。間隙水のδDとδ18Oは,Cl⁻濃度の低下と共にδD値が低くδ18O値は高くなる傾向を示した。この傾向は粘土鉱物の脱水由来の淡水が加わることにより低Cl-濃度となった水が地下深部から供給されていることを示している。Cl⁻濃度の深度方向への減少傾向は泥火山ごとに異なる。移流拡散モデルを用い上方への移流速度を求めたところ,特に喜界島沖と種子島沖北部海底泥火山で移流速度が大きいことが確認された。
間隙水中のLi濃度は,深度方向に上昇し,低Cl⁻濃度の泥火山で高Li濃度を示した。Li・Na地化学温度計を用いて流体の経験温度を見積もると,すべての海域の泥火山の温度は誤差範囲で一致し,平均130℃であった。この起源温度と種子島沖の地温勾配を適応すると,高Li濃度の流体が海底下2.6~5.2 kmから供給されていると推定される。また,高Li濃度を示した泥火山のδ7Li値は,Cl⁻/Li濃度比の減少に伴い低くなり,熱水域で見られる低δ7Li値高Li濃度の流体が,地下深部から供給され,海水と混合していることが示唆された。喜界島沖,種子島沖,日向灘の海域によらず分析を行った泥火山のδ7Liがこの混合線上にプロットされたため,これらの海域の泥火山の流体中に含まれるLiの起源は同様であると考えられる。
各泥火山の堆積物中のメタンの炭素同位体比は,メタンが熱分解起源であることを示した。メタンは,有機物が熱分解する高温下(>80˚C)で生成し,海底表層まで供給されていることを示す。
本研究では,琉球海溝沿いに喜界島沖から日向灘まで,広範囲での泥火山流体の起源の推定・考察を行った。調査を行った全ての海域の泥火山で,熱分解起源によるメタンの生成が起こり,粘土鉱物の脱水反応が起こる深度から流体が上昇していることが明らかとなった。