日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] プラスチック汚染の実態把握と対策

2025年5月25日(日) 09:00 〜 10:30 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:加古 真一郎(鹿児島大学大学院理工学研究科)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、笹尾 俊明(立命館大学)、山本 雅資(神奈川大学)、座長:加古 真一郎(鹿児島大学大学院理工学研究科)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)

09:45 〜 10:00

[MIS21-04] バスのドライブレコーダー映像とスマホアプリを活用した市街地におけるごみの観測

*鳴島 ひかり1松岡 大祐1,2、村上 幸史郎1川原 慎太郎1杉山 大祐1日髙 弥子1,2加古 真一郎1,2 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.鹿児島大学大学院理工学研究科)

キーワード:AI、ドライブレコーダー、海ごみ、プラスチック

海洋ごみは世界的な環境問題であり、多くは都市部で発生し河川を経て海へ運ばれる。横須賀市では、ポイ捨て防止条例の制定や市民による清掃活動の支援を行っているが、ごみの分布や発生量に関する詳細なデータは不足している。効果的な対策にはデータに基づく分析が必要である。本研究は横須賀市内でのごみの分布を明らかにすることを目的とした。
目視によるごみの観測には限界があるため、横須賀市内を走行するバスのドライブレコーダーの映像を活用し、約7か月にわたり3台分の映像を収集してAIでごみの分布を分析した。ただし、映像からではごみの詳細な種類を判別することが困難であるため、ごみ拾いSNSアプリ「Pirika」の投稿内容、スマートフォンで撮影した川沿いの映像の解析、および目視調査を併用して、ごみの種類や特徴を補足した。
調査の結果、人流の多い主要な駅やバス停周辺と、市民の目が行き届かないトンネル内、山間部、車線の多い道路沿いでごみの量が特に多いことが明らかになった。また、台風が接近した日にごみの量が増えていたことから、気象条件によるごみの増減も考えられた。「Pirika」のデータでは、駅周辺のごみの87%がたばこの吸い殻であった。川沿いでは、空き地や廃墟の周辺、線路沿いといった人の手が入りにくい場所にごみが多く落ちていることが分かった。
これらの結果は、ごみ収集の効率的な管理や、市民への啓発活動を進める上で役立つ知見となり、都市環境の改善や海洋ごみの削減につながる可能性を示した。ドライブレコーダーやアプリを活用したモニタリングにより、効率的なごみ分布の把握が期待できる。さらに、長期的にデータを蓄積することにより、人流や気象条件がごみの発生に与える影響がわかるようになる。また、今後は市民による清掃活動後の河川や海岸のごみ量の変化を調査するため、海岸に設置したモニタリングカメラの映像を解析し、ごみの流出量や削減効果を明らかにしていきたい。