09:30 〜 09:45
[MIS24-02] 津波痕跡と地殻変動痕跡から推定される昭和南海地震の津波波源モデル
キーワード:南海トラフ巨大地震、昭和南海地震津波、津波伝播数値シミュレーション
1946年12月21日に発生した昭和南海地震に伴う津波は西南日本太平洋沿岸の広範囲に甚大な被害を及ぼした.Satake (1993)やBaba et al (2005)は津波痕跡高や地殻変動痕跡,津波波形のジョイントインヴァージョンで津波波源モデルを推定し,昭和南海地震は紀伊半島沖に最大滑り量5~6 mのMw 8.1~8.3の巨大地震だったと結論付けている.しかしながら,これらの津波波源モデルは南海トラフ沈み込み帯の三次元プレート沈み込み形状や近年再評価された和歌山沿岸の津波痕跡(例えば,石橋ほか,2016;中野ほか,2022)が反映されていない.本研究では,Nakanishi et al (2018)の南海トラフ沈み込み帯の三次元地下構造モデルに基づいて9枚の小断層を配置し,最適化アルゴリズムを使って最新の津波痕跡高と地殻変動痕跡から昭和南海地震の津波波源モデルを再検討した.
波源推定はKirkpatrik et al (1983)の提案した原理を基にImai et al (2020)によって開発された最適化アルゴリズムを使用した.波源推定に使用した痕跡データは,津波痕跡データベース(東北大学・原子力規制庁)に格納された最も信頼度の高い痕跡信頼度Aの334点,紀伊半島以西の地殻変動痕跡37点である.津波痕跡に関しては同一集落の痕跡点は集約して平均と標準偏差を取り,再評価した津波痕跡10点を加えた合計48点を使用した.さらに推定された津波波源モデルを検証するため津波伝播フォワード計算を実行して,愛媛県宇和島・大阪府堺・静岡県沼津市内浦の検潮所で記録された検潮記録を比較した.検潮記録は津波波形画像検索システムに格納されたアナログ記録をデジタル化して理論潮汐曲線の山谷で時刻を補正したものを使用した.
津波痕跡と地殻変動痕跡から紀伊半島沖に最大すべり量11.0 mの大滑り域,土佐沖に4.5mの滑り域を持つMw 8.2±0.1の波源断層モデルが推定された.従来のモデルで紀伊半島沖に10mを超えるような大滑り域はなく,和歌山沿岸の津波痕跡を再評価したことで得られた新たな結果と考えられる.また計算波形の初動到達時刻は観測より数分から十数分早いものの,波の形状は全体的に再現できた.一方,土佐沖に配置された小断層の滑り量はばらつきが周囲の小断層より大きく,滑り量が一意に求まっていない可能性がある.痕跡データの見直しを含めたさらなる検証が必要である.
謝辞:本研究は R2-6年度文部科学省「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」(研究代表者:海洋研究開発機構 小平秀一)の一環として行われました.
波源推定はKirkpatrik et al (1983)の提案した原理を基にImai et al (2020)によって開発された最適化アルゴリズムを使用した.波源推定に使用した痕跡データは,津波痕跡データベース(東北大学・原子力規制庁)に格納された最も信頼度の高い痕跡信頼度Aの334点,紀伊半島以西の地殻変動痕跡37点である.津波痕跡に関しては同一集落の痕跡点は集約して平均と標準偏差を取り,再評価した津波痕跡10点を加えた合計48点を使用した.さらに推定された津波波源モデルを検証するため津波伝播フォワード計算を実行して,愛媛県宇和島・大阪府堺・静岡県沼津市内浦の検潮所で記録された検潮記録を比較した.検潮記録は津波波形画像検索システムに格納されたアナログ記録をデジタル化して理論潮汐曲線の山谷で時刻を補正したものを使用した.
津波痕跡と地殻変動痕跡から紀伊半島沖に最大すべり量11.0 mの大滑り域,土佐沖に4.5mの滑り域を持つMw 8.2±0.1の波源断層モデルが推定された.従来のモデルで紀伊半島沖に10mを超えるような大滑り域はなく,和歌山沿岸の津波痕跡を再評価したことで得られた新たな結果と考えられる.また計算波形の初動到達時刻は観測より数分から十数分早いものの,波の形状は全体的に再現できた.一方,土佐沖に配置された小断層の滑り量はばらつきが周囲の小断層より大きく,滑り量が一意に求まっていない可能性がある.痕跡データの見直しを含めたさらなる検証が必要である.
謝辞:本研究は R2-6年度文部科学省「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」(研究代表者:海洋研究開発機構 小平秀一)の一環として行われました.