14:30 〜 14:45
[MZZ42-03] MCP/FS/qCMOS二次元イオン検出システムを用いた定量イメージングにおけるBlooming効果を考慮した分析精度の推定手法の開発

キーワード:SIMS、同位体イメージング、MCP、qCMOS
同位体は物質における化学的・物理的プロセスのトレーサーとして有用である.同位体組成情報を他の岩石学的特徴などの情報と組み合わせるため,またその情報量を増加させるために,これまでに同位体を二次元的にとらえる定量同位体イメージングが主に二次イオン質量分析法(SIMS)によって行われてきた.SIMSにおける同位体イメージングには走査型と結像型の2つの手法がある.高感度,高精度,短時間の分析を可能にするためには二次イオン強度を,空間分解能を損なうことなく一次イオン強度を上げられる結像型が有効である.同位体イメージングの際には,0次元での検出に比べて検出素子あたりのイオン強度が減少するため高感度な二次元検出器が必要となる.このような二次元検出器としてマイクロチャンネルプレート(MCP),蛍光面(FS),カメラからなるシステムを開発してきた(Okano et al. 2024, JpGU; Yoshimoto et al., 2024, 地球化学会年会).増幅前のイオンカウント C (Counts Per Second; cps)とイメージセンサから得られるデジタル値 I (Analog to Digital Unit; ADU)は,I=p⋅Cq という特性曲線の関係になることが経験的にわかっている(e.g., Mantus and Morrison, 1990).特性曲線を用いたデジタル値からイオンカウントへの変換による定量分析は,これまで全てカメラ画素を1つの特性曲線を用いて行われていた.しかし,MCP/FS/カメラ系の性質上,MCPの各チャンネル,カメラの各画素の増幅率は異なるはずである.また,Okano et al. (2024)では,特性曲線を用いて計算された各ピクセルの同位体比の誤差を評価したが,二次イオン数から推定された計数統計誤差と同位体比イメージから推定される同位体分布が一致せず,MCP/FS/カメラ系での見かけの精度が向上してしまう結果となっていた.
本研究では,読み出しノイズが極めて低い浜松ホトニクス社製qCMOSカメラ・2段MCP及び短時間減光可能なFSを用いることで短時間測定を可能とする二次元検出システムを用いた.特性曲線を二次元検出器として定量性を保ったまま用いることを可能にするために,ピクセル毎に特性曲線を算出する方法を本研究では使用した.また,誤差を正確に推定できていない理由として,MC Pを用いたことによる,面内での信号の広がり(blooming)に注目した.本システムのようなMCP/FS/cameraシステムを用いたイメージング分析では,二段MCPの1段目から2段目の間,および2段目からFSの間で,一つのチャンネルから出た電子がガウシアン的な広がりを持ってしまうことが知られている(e.g., Saito et al., 2007).blooming効果により,カメラ上での信号強度は複数の近隣ピクセル間でスムージングされてしまい,ばらつきが減少してしまうことで見かけの誤差は過小評価されてしまう。本研究ではこの検証のため,1つのイオンのbloomingの幅を求め,シミュレーションにより誤差の過小評価の程度を見積もった.その結果,blooming での二次元ガウシアンフィッティングによるシグマの値は約2.5ピクセルであった.また,誤差の過小評価の程度は露光時間や二次イオンの強度に依存せず,より大きなビニングを施すことで誤差の過小評価の程度が減少することがわかった.シミュレーションにより算出した誤差の過小評価の程度を補正係数として使用することにより,イメージング分析の繰り返し誤差は計数統計誤差と整合的な結果が得られた.以上からblooming効果の影響を考慮した上での真の繰り返し誤差の推定方法の開発に成功した.
本研究では,読み出しノイズが極めて低い浜松ホトニクス社製qCMOSカメラ・2段MCP及び短時間減光可能なFSを用いることで短時間測定を可能とする二次元検出システムを用いた.特性曲線を二次元検出器として定量性を保ったまま用いることを可能にするために,ピクセル毎に特性曲線を算出する方法を本研究では使用した.また,誤差を正確に推定できていない理由として,MC Pを用いたことによる,面内での信号の広がり(blooming)に注目した.本システムのようなMCP/FS/cameraシステムを用いたイメージング分析では,二段MCPの1段目から2段目の間,および2段目からFSの間で,一つのチャンネルから出た電子がガウシアン的な広がりを持ってしまうことが知られている(e.g., Saito et al., 2007).blooming効果により,カメラ上での信号強度は複数の近隣ピクセル間でスムージングされてしまい,ばらつきが減少してしまうことで見かけの誤差は過小評価されてしまう。本研究ではこの検証のため,1つのイオンのbloomingの幅を求め,シミュレーションにより誤差の過小評価の程度を見積もった.その結果,blooming での二次元ガウシアンフィッティングによるシグマの値は約2.5ピクセルであった.また,誤差の過小評価の程度は露光時間や二次イオンの強度に依存せず,より大きなビニングを施すことで誤差の過小評価の程度が減少することがわかった.シミュレーションにより算出した誤差の過小評価の程度を補正係数として使用することにより,イメージング分析の繰り返し誤差は計数統計誤差と整合的な結果が得られた.以上からblooming効果の影響を考慮した上での真の繰り返し誤差の推定方法の開発に成功した.