日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[M-ZZ45] ジオパークとサステナビリティ(ポスター)

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、土井 恵治(土佐清水ジオパーク推進協議会)

17:15 〜 19:15

[MZZ45-P09] 糸魚川ジオパークとユース世代との連携事例:巡検とVR教材コンテンツ開発を通じた魅力発信

*郡山 鈴夏1,2、勝身 麻美3、Martinez Sanchez Alejandro Isidro4,5、五十嵐 薫4,5、小林 真緒子5、沖田 広希5、佐藤 世壱5、茶山 健太5 (1.フォッサマグナミュージアム、2.糸魚川ジオパーク、3.長岡技術科学大学国際産学連携機構、4.長岡技術大学SDGsプロモーター、5.次世代ユネスコ国内委員会)

キーワード:ジオパーク、ユネスコ、ユース世代、テクノロジー

はじめに
新潟県糸魚川市は日本列島を東西に分断する大断層である糸魚川‐静岡構造線や国石ヒスイなど地質資源豊かな地域である。2009年には糸魚川市全域を日本で初めて世界ジオパークに認定され、大地の遺産を生かした地域づくり活動を展開している。特徴的な取り組みとして「0歳から18歳までの子ども一貫教育」があげられ、ジオパーク学習を柱に、子どもの発達状態に合わせた一貫した教育がおこなわれている。
しかしながら、市内には大学がないため、高校を卒業以降のユース世代(18歳~29歳)とのジオパーク活動のつながりが希薄であるという課題が存在していた。

次世代ユネスコ国内委員会のジオパーク活動への関わり
この課題に対する新たな展開として、次世代ユネスコ国内委員会の委員との連携をあげる。
2022年10月、次世代ユネスコ国内委員会の委員(以下:次世代委員)4名が第12回日本ジオパーク全国大会 白山手取川大会に参加し、ユースセッション「ユース世代で考える地域と地球の未来」のプログラムにおいて運営を支援した。2021年に組織された次世代委員はユネスコエコパークやジオパークの事業に参画したいと望んでおり、エコパーク・ジオパーク地域の実地調査の必要性を感じていた。ジオパーク全国大会での多くの関係者との交流を経て翌月、現地での学びの場として糸魚川を選び訪問した。訪問した次世代委員の2名は、ユース世代を巻き込んだジオパーク活動の可能性について議論を行い、「学生のシビックプライドを育むような機会の創出」「ユース世代による魅力発信を通じた糸魚川と世界の若者たちとの交流機会を創出」などの必要性について提案をおこなった。
また、次世代委員のジオパーク全国大会への参加は継続的に行われ、2023年(銚子大会)および2024年(下北大会)のジオパーク全国大会においても、引き続きユースセッション運営に協力し、中高生の活動支援に協力した。特に、参加者に最も年齢の近い大人として、生徒たちの取り組みを丁寧にサポートする姿勢は、プログラムの運営を円滑に進め、参加者の意識向上にも貢献した。

長岡技術科学大学との連携とVR教材コンテンツ開発
次世代委員との連携をきっかけとして、新潟県内の長岡技術科学大学との協力関係も構築された。2024年1月には同大学の学生と教員が糸魚川を訪問し、ユース世代の視点でのSNS情報発信について議論を行い、現地見学を通じてその可能性を探った。この日は、それぞれの活動内容を共有と議論を中心に終えたが、これをきっかけにさらなる連携が進展することとなった。
具体的な成果として、同年3月には長岡技術科学大学の学生組織「SDGsプロモーター」などから25名の学生および教員が糸魚川を訪れ、地域との連携支援を目的とした現地調査を実施した。博物館学芸員による案内のもと、フォッサマグナミュージアムの見学、ジオサイト巡り、海岸での石探しなどを体験。調査は冬と夏の2回にわたり行われた。この現地調査を通じて、糸魚川の地質学的特徴と魅力、そしてジオサイト見学における様々な課題を洗い出した。
調査結果として学生たちからは、「解説や物語性があることでジオサイト見学がより面白さを感じるができる」という肯定的な意見が得られた一方で、「海岸での石拾いは説明や岩石の鑑定がないと難しい」「ストーリーを感じられるツアー(あるいは解説版)が必要」「広報のデザイン性を向上させるべき」といった改善提案が挙げられた。これらの意見をもとに実践に移す取り組みとして、長岡技術科学大学では「VR教材によるヒスイ探し体験」の開発を現在進めている。このVR体験は、ヒスイ探しを手軽に楽しめるアクティビティとして、糸魚川ジオパークの新たな魅力発信の一助となることを期待している(2025年2月現在開発中)。

今後の展望
糸魚川ジオパーク内には大学がなく、ユース世代とのつながりが希薄であった。しかし、次世代委員や長岡技術科学大学との連携を通じて、新たな可能性が広がった。特に彼らが持つ柔軟で創造的な発想や、多様な視点からの提案は、ジオパークの魅力を発信する上で貴重な資源となっている。
今後は、これまでの成果を基盤として、次世代委員や大学との連携をさらに深め、地域や次世代を巻き込んだ取り組みを推進していきたい。また、ユース世代との交流を通じて、糸魚川ジオパークを訪れる人々が大地の遺産に親しみを持ち、持続可能な未来を考えるきっかけを提供する場を創り出すことを目指す。これらの協働を通じて、より魅力的で意義あるジオパーク活動を展開していきたいと考える。