日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ45] ジオパークとサステナビリティ(ポスター)

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、土井 恵治(土佐清水ジオパーク推進協議会)

17:15 〜 19:15

[MZZ45-P10] 地理学科の大学生が持つジオパークに対する理解と意識

*森本 拓1、小松 陽介2 (1.島原半島ジオパーク協議会、2.立正大学)

キーワード:ジオパークの理解と意識、地理学専攻の大学生、アンケート調査、ジオパーク活動の担い手

本研究は地理学科の大学生を対象にアンケート調査を実施して得られたジオパークに対する理解や意識について報告する。調査対象を地理学科の大学生にした理由は、筆者は地球上の自然や人間生活に関わる様々な事象の成り立ちを研究する地理学と、地球の地質遺産を活用して持続可能な地域づくりを進めるジオパーク活動がそれぞれ親和的だと捉えており、こうした学生のジオパークの理解や意識を明らかにすることは将来のジオパーク活動の担い手を増やす指針に繋がると考えたからである。
 アンケート調査は「自然公園とエコツーリズム」という講義内でジオパークに関する授業を受ける大学3・4年生を対象に、授業前に実施した。調査は2022年と2024年の2回行われ、延べ89人から回答が得られた。それぞれの年で回答傾向の特徴にほとんど違いがみられなかったため、調査結果は累計で分析した。アンケートの質問項目は①ジオパークのイメージ、②ジオパークへの旅行形態及び情報媒体、③現地でのガイド利用、④ジオパークの仕事への興味や認識の4つのカテゴリーからなる。
 ①においてジオパークの取り組みと聞いて連想するキーワードを「保護・保全」、「調査・研究」、「教育」、「観光・地域づくり」、「ネットワーク活動」の中で1つ選ばせたところ、83%が「保護・保全」と答え、さらにそれに関連した自由記述からは「保護よりも保全のイメージを強く持っていること」や「自然豊かなジオパークは他地域にない魅力を持ったイメージがある」といった意見があった。一方でジオパークの認知度の低さを指摘した意見もあり、それに関連してジオパークがユネスコプログラムであることを知っているかと尋ねたところ、64%が「知らない」と答えた。これらのことから、ジオパークが自然の保護・保全に重きを置いた活動であるという表面的な理解に留まっており、また地質遺産を活用した国際的なプログラムであることを多くの学生が認識していないことが分かった。
 ②においてジオパークへの訪問の有無について質問したところ、73%が「行ったことがある」と答えた。その内、訪問時の旅行形態を尋ねたところ、37%が「家族旅行」、25%が「友人との旅行」、15%が「修学旅行等の授業の一環」、13%が「一人旅」と上位4つで90%を占めた。一方で訪問していないと答えた学生に対して、行ってみたいと思うジオパークはどんなところか聞いたところ、「自然景観の美しさ」や「地域の学びや観光の楽しさ」を求める意見が多く挙がった。次にジオパークの情報媒体を質問したところ、30%が「公式ウェブサイト」、20%が「旅行会社等の紹介サイト」、14%が「Instagram」の順となった。一方で「Instagram」をはじめ「X(旧Twitter)」や「Facebook」等の情報媒体を「SNS」としてまとめたところ、それらは全体の40%に及んだ。このことは、各ジオパーク地域は公式ウェブサイトのみならず、SNSを活用してジオパークの周知や宣伝を行う必要があることを示している。
 ③においてジオパーク訪問時に有料のガイドツアーを利用したいか質問したところ、47%が「利用したい」、46%が「利用したくない」とそれぞれ意見が別れた。現時点であなたが支払える1人1時間あたりのガイド料金の金額を尋ねたところ、47%が「1000円」、27%が「3000円」、23%が「500円」となった。また有料のガイドツアー利用の有無別と旅行形態をクロス集計したところ、「家族旅行」、「友人との旅行」、「修学旅行等の授業の一環」と比べて「一人旅」の方がガイドを利用したい傾向にあることが分かった。こうした傾向は「一人旅」の方が、複数人で行動する旅行形態と違って時間の融通が利くからであると考えられる。
 ④においてジオパークの仕事に就きたいかと質問したところ、22%が「はい」、74%が「いいえ」と答えた。あわせて理由を尋ねたところ、「はい」と回答した方は「自然保護や自然環境の仕事に関心があるから」、「自然の魅力を誰かに話したいから」と答えた一方で、「いいえ」を選んだ方は「他の仕事に興味がある」、「自然相手の仕事に興味がない」、「ジオパークについての知識不足」等を挙げた。このことから、ジオパークの仕事は「自然」を扱うという漠然とした職業イメージを持ち、その「自然」に対する個人の関心の強さによって職業選択の候補になるか否かの判断がなされていることが示唆された。また、知識不足という意見からはジオパークの仕事が専門的な知識や能力を要求される、いわばハードルの高い職業であると捉えられている可能性があると示唆された。