日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[M-ZZ45] ジオパークとサステナビリティ(ポスター)

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、土井 恵治(土佐清水ジオパーク推進協議会)

17:15 〜 19:15

[MZZ45-P14] 「富山湾に沈む夕日」とその活用

*國香 正稔1,2野寺 凜1,2 (1.黒部市吉田科学館、2.立山黒部ジオパーク)

キーワード:富山、丸さ、夕日、サスティナビリティ

1 海に沈む夕日
夕日,とりわけ,海に沈む夕日が,こころを落ち着かせてくれると感じるのは私たちだけだろうか?
こころを落ち着つかせてくれる要素としては,場所による空の色の違いや時間の経過にともなうその変化など,いくつも並べ上げることができる.その一つに,太陽が沈む水平線の向こう側について想像する,あるいは,宇宙を感じるという,少し高度な,知的な活動も関わっていると考えている.向こう側を想像する知的活動を一歩進め,地球の形・大きさとしてとらえる段階へ発展できれば,地球の有限性を目で見るという,サスティナブルを進める上での意義深い活動になると考える.
黒部市石田海岸において,「富山湾に沈む夕日」を撮影したので報告し,ジオパークやサスティナビリティの視点から,その活用について考察する.

2 日の入りの二度見
夕日が海に沈むときの,日の入りの二度見という現象があり,地球(海)の丸さを示す重要な証拠の一つとなっている.
最初に,しゃがみこんだ状態で日の入りを確認し,その瞬間に立ち上がると,太陽の上部が見え,もう一度,沈んでいく,つまり,日の入りの瞬間を二度見ることができる,というものである.海面がユークリッド平面であるならば,起こりえない現象である.

3 地球は丸い,富山湾も丸い
丸い地球に裏側があるように,富山湾にも裏側があるという意味での,富山湾の丸さを紹介する活動,「地球は丸い,富山湾も丸い」という活動を,黒部市吉田科学館が,2021年から行っている.
主に,黒部市生地海岸から,富山湾をはさんで対岸にある新湊大橋を観察する活動である.生地海岸の堤防の上(標高6m)からは見える車道(標高47m)が,波打ち際(標高1m)からは見えなくなることを観察してもらう企画である.湾の対岸が高さ50mくらいまで「見えない裏側」になるわけで,多くの参加者に驚いてもらえる.
この,波打ち際から観察するという活動の中で,ぐるりと富山湾の対岸を見渡すと,その一部に山がない部分,山が水平線にかくれてしまい,水平線と空とが直に接している部分があること,さらに,その方向に夕日が沈む時期があることに気づき,「富山湾に沈む夕日」というテーマでの活動がはじまった.

4「富山湾に沈む夕日」
「富山湾に沈む夕日」とは,「富山湾でも,対岸の山が水平線にかくれて,夕日がじかに水平線に沈む」ことを示している.夕日がじかに水平線に沈むのは,水平線と太陽の間にさえぎるものがない,つまり,太陽と水平線との間に山がないときに起きる現象である.
具体的には,夕日が西南西の方角へ沈む時期(冬至前後の約2ヶ月間)に,魚津市と黒部市の波打ち際から観察できることを確認した.地球の丸さが関係しており,堤防の上で観察するよりも,波打ち際でしゃがみこむなど,できるだけ視点を低くした方が,観察できる場所や期間を拡げることができる.
残念なことに,その時期は,降水期に相当し,日の入りを観察できる日は少ない.挑戦と失敗を繰り返しながら,ようやく,黒部市内の海岸(2025/01/05 16:49 36度52分6.82秒 137度25分2.19秒)からも撮影することができた.また,日の入りの二度見が観察できることも確認した.

5 サスティナビリティ,ジオパークの活動として
海に沈む夕日の魅力は大きく.それは見えないという思い込みに反して,見ることができたときの喜びも大きい.また,日の入りの二度見は,理屈抜きに,地球の丸さを体感させてくれる現象だと期待している.今はまだ,技術的・機材的に,二度見を映像に収めるのは困難で,現地で体験するしかない.
まずは,「富山湾に沈む夕日」があること,地球の丸さが関係していることを広めたい.黒部市吉田科学館では,プラネタリウム番組やSNSで「富山湾に沈む夕日」の映像を紹介している.今後は,現地観察会やライブ配信など,よりリアルな体験ができるよう工夫するとともに,二度見の映像化にも挑戦したい.