日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-02] 地球科学とアートの相互作用

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:荒木 優希(金沢大学)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、長井 裕季子(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、石田 翔太(横浜市立大学)

17:15 〜 19:15

[O02-P01] 見えないものを見せる「サイエンスフォト」―浮遊性有孔虫にみる科学と芸術の相互作用―

★招待講演

*高木 悠花1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:サイエンスフォト、浮遊性有孔虫、科学と芸術

研究対象の姿を観察し,記録し,解析するという行為は,研究活動の中でごく一般的に行われる.微小なものの観察には顕微鏡が,天体等の観察には望遠鏡が用いられる.また光学的な手法のみならず,可視光以外の電磁波を用い,最終的に視覚で認識できる形に変換する観察手法も研究の場ではよく活用され,電子顕微鏡やマイクロフォーカスX線CTなど多岐に渡る.
発表者は浮遊性有孔虫という,体長数百μm程度の単細胞プランクトンの生態を研究対象としており,顕微鏡画像を取得する機会が多い.浮遊性有孔虫の現生種は,棘と呼ばれる細くて長いしなやかな構造を,殻の表面から無数に放射状に伸ばしている.さらに,藻類を細胞内に共生させている種では,昼間にはその棘の上に共生藻を展開し,光合成のため光を効率よく各藻類細胞に当てられるよう配置している.この様子は顕微鏡を通して観察すると特に印象的であり,科学的にも興味深い現象であると同時に,しばしば芸術性すら感じさせる.発表者はこれまで,自身の研究活動のアウトリーチのひとつとして,サイエンスフォトコンテストなどに有孔虫の顕微鏡画像を応募してきた.写真を通して,研究内容を紹介するきっかけとなることも多く,研究の魅力を一般に伝える手段としてのアートという,誰もが同じ入り口に立てる表現手法を活用できると感じている.一方で,被写体についての事前知識のない方からの反応も興味深く,そうした方々との対話から現象の本質につながる側面に気付かされることもある.このように,サイエンスフォトを通じて双方向的な相互作用が生まれうる.
本発表では,研究の過程で得られた様々な有孔虫の顕微鏡写真を通して有孔虫の生態研究について紹介しながら,サイエンスフォトのサイエンス側面とアート側面について,参加者らと意見交換したい.