17:15 〜 19:15
[O08-P11] アリの協調行動の研究
★招待講演
キーワード:アリ、協力行動、集団運動、数理モデル、自動計測
アリはコロニーと呼ばれる集団を維持して生きていくために、必要になる採餌や防衛、清掃など様々なタスクを適切にコロニー内で役割分担をしている。 アリのコロニーの特徴として、単に集団生活しているだけではなく、生殖機能を女王アリのみが担い、他の生殖機能を持たないアリはワーカーと呼ばれる。 特に生殖機能が一部に限定されることを生殖分業と呼ぶ。 また、ワーカーはコロニーの活動維持に必要な活動をする。 この生殖分業があるコロニーを構成するアリは、ハチと共に社会性昆虫と呼ばれる。 女王と呼称が付くため、人間社会の様な階層社会を想起してしまうが、女王アリは産卵が主たる仕事で、ワーカーに指示を与えないとされる。 ワーカーはあくまで自律的にコロニー内の状態を把握して、必要な行動をすると考えられている。 例えば、女王アリが産んだ卵や幼虫の世話を行ったり、採餌や水分の確保、衛生環境を維持するための清掃を自発的に行う。 ワーカーの自律分散行動は、ワーカー同士のコミュニケーションや個々のワーカーが知覚する情報に基づいた自律的判断によって行われている。
アリのコロニーが示す自律分散的行動は自己組織化現象の顕著な例として様々な行動が知られている。 例えば、トビイロケアリという小型アリはフェロモンという化学物質情報を用いて集団採餌を行う。 これは一般的に知られている「アリの行列」と言われる集団採餌行動である。 ワーカーは餌を見つけると帰巣するが、その際に要所要所で地面にフェロモンを塗布しながら帰巣する。 するとまだ餌を探索しているワーカーがフェロモンを感受し、餌を見つけたワーカーが塗布したフェロモンに従い進んでいくことで、素早く餌を見つけることができるようになる。 この塗布されたフェロモンによりまだ餌を見つけていないワーカーが誘導される。 さらに、餌を見つけたワーカーたちも最初に餌を見つけたワーカーと同様にフェロモンを塗布することで、ポジティブフィードバックがかかり、餌と巣をつなぐフェロモンによる誘導経路が作られる。 その結果多くのアリが巣穴から餌場まで素早く移動して大量の餌を運ぶことが可能になる。
このフェロモンによる集団採餌が可能になるのは、ワーカーによってフェロモンが感知されていることが重要になる。 しかし、Deuneboughらの研究によると全てのワーカーが正確にフェロモンを感知できるわけではなく、一定の割合で正確に感知せずフェロモンの経路から外れることが知られている。 本研究では、フェロモン経路の情報を正確に利用しないワーカーがいることで、コロニーとしてどのような影響があるかを数値シミュレーションにより解析した。 フェロモンを用いる集団採餌行動を単位時間あたりの餌の運搬量を採餌効率として定義して評価した。 ワーカーを2次元三角格子空間上を移動するエージェントとし、ワーカーが出発する点を巣とし、餌場を2箇所設定した。 各ワーカーは、格子点上のフェロモン濃度に依存した確率に従って格子上を移動する。 このワーカーに通常感度でフェロモン濃度を感知する通常アリと、通常アリよりもフェロモン濃度差を検知しにくい低感度アリをモデルとして導入した。 その結果、餌場の空間的配置に依存した低感度アリと通常感度アリの比率と低感度アリの感度の組み合わせに対して採餌効率が向上することが示された。 つまり、外部環境に応じて一定強度の低感度アリが一定の割合で存在することが、コロニーとしての採餌効率を向上させていることが明らかになった。
アリのコロニーでは月齢や経験に依存して分業することが多く知られているが、本研究ではさらに同じ階層のタスクを担っているワーカーにもそれぞれの感度の差異により全体の採餌効率を向上させるため、感度による一種の分業が発生することが明らかになった。
アリのコロニーが示す自律分散的行動は自己組織化現象の顕著な例として様々な行動が知られている。 例えば、トビイロケアリという小型アリはフェロモンという化学物質情報を用いて集団採餌を行う。 これは一般的に知られている「アリの行列」と言われる集団採餌行動である。 ワーカーは餌を見つけると帰巣するが、その際に要所要所で地面にフェロモンを塗布しながら帰巣する。 するとまだ餌を探索しているワーカーがフェロモンを感受し、餌を見つけたワーカーが塗布したフェロモンに従い進んでいくことで、素早く餌を見つけることができるようになる。 この塗布されたフェロモンによりまだ餌を見つけていないワーカーが誘導される。 さらに、餌を見つけたワーカーたちも最初に餌を見つけたワーカーと同様にフェロモンを塗布することで、ポジティブフィードバックがかかり、餌と巣をつなぐフェロモンによる誘導経路が作られる。 その結果多くのアリが巣穴から餌場まで素早く移動して大量の餌を運ぶことが可能になる。
このフェロモンによる集団採餌が可能になるのは、ワーカーによってフェロモンが感知されていることが重要になる。 しかし、Deuneboughらの研究によると全てのワーカーが正確にフェロモンを感知できるわけではなく、一定の割合で正確に感知せずフェロモンの経路から外れることが知られている。 本研究では、フェロモン経路の情報を正確に利用しないワーカーがいることで、コロニーとしてどのような影響があるかを数値シミュレーションにより解析した。 フェロモンを用いる集団採餌行動を単位時間あたりの餌の運搬量を採餌効率として定義して評価した。 ワーカーを2次元三角格子空間上を移動するエージェントとし、ワーカーが出発する点を巣とし、餌場を2箇所設定した。 各ワーカーは、格子点上のフェロモン濃度に依存した確率に従って格子上を移動する。 このワーカーに通常感度でフェロモン濃度を感知する通常アリと、通常アリよりもフェロモン濃度差を検知しにくい低感度アリをモデルとして導入した。 その結果、餌場の空間的配置に依存した低感度アリと通常感度アリの比率と低感度アリの感度の組み合わせに対して採餌効率が向上することが示された。 つまり、外部環境に応じて一定強度の低感度アリが一定の割合で存在することが、コロニーとしての採餌効率を向上させていることが明らかになった。
アリのコロニーでは月齢や経験に依存して分業することが多く知られているが、本研究ではさらに同じ階層のタスクを担っているワーカーにもそれぞれの感度の差異により全体の採餌効率を向上させるため、感度による一種の分業が発生することが明らかになった。