日本地球惑星科学連合2025年大会

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[J] ポスター発表

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P10] バイナリー式地熱発電の可能性と課題

*引地 史竜1、*渡邊 翔太1 (1.宮城県古川黎明高等学校)

キーワード:バイナリー発電、地熱資源

1.背景と目的

本校が所在している宮城県大崎市に属する鳴子地区は、豊富な湯量・泉質の温泉地として全国的に有名である。私たちは地域の特色である地熱資源を利用する地熱発電には、環境への負荷の低さなど大きな利点がある一方、日本では資源量と比較して普及率が低いという事実を知った。持続可能な社会を構築するためには地熱エネルギーの活用は重要な要素である。

地熱発電の発電方式の中に、バイナリー発電がある。この方式は比較的低沸点の媒体でも発電が可能であるため、日本の地熱資源をより最大限に生かすことができる。今回私たちはバイナリー発電に着目して、文献調査を通してその現状や課題の調査を行おうと本研究に至った。

2.方法

地熱発電所への見学や参考文献をもとに地熱発電について情報を収集した。また、地熱発電模型を製作することでより地熱発電への理解を深めた。

3.結果

フラッシュ方式、ドライスチーム方式では、発電をする為に必要な熱水や蒸気を地下から採取するパイプの腐食や、不純物の詰まりによって、熱水の供給を長期間安定して行うことが困難な場合が多い。その都度、新たに生産井を掘る費用が地熱発電施設の維持費を高くしている一因となっていることが、現地調査などから分かった。

一方、温泉地の源泉などを利用するバイナリー発電は、低沸点の触媒の蒸気によって発電を行うため、高温の源泉を冷却する際の熱を利用した発電が可能である。よって、新たな生産井を掘削する必要がない点では、上記の方式と比較して維持費を抑えられると考えられる。

さらに、バイナリー発電は小型化も可能で、比較的容易に設置できる利点がある。

しかし、デメリットとして見学したバイナリー発電所の中には設備がすべて外国製であった場所が存在し、さらにメンテナンス頻度が多く、そのための部品も海外から取り寄せている為、施設の維持費全体が高額となる要因となっていた。

次に、地熱発電模型を製作して理解を深める為、ドライスチーム方式のシンプルな地熱発電模型を製作し、IHヒーターや圧力鍋などを用いて地熱発電を再現した実験を行った(図①)。

実験ではエネルギー変換効率は0.01%未満であり、使用したIHヒーターの消費電力の4000分の1となっていた。

この発電効率となった原因を探るためにサーモグラフィーを使用したところ、蒸気吹き出し口付近と圧力鍋とビニルパイプの接合部分から熱が逃げていると推測できる。発電効率を上げる方法として、熱を逃がさないために断熱材を使用する、プロペラの形状を変更するなどの工夫が求められる。

実験で製作した地熱発電模型は実験以外にも、発表や出前授業などで使用し、地熱発電についての知識を広める活動を行った。

さらに、バイナリー発電の模型を制作している(図②、④)。制作では、バイナリー発電の構造上低沸点の物質を媒体とする必要があるため、代替フロンを媒体とし、タービンを回転させる部屋を密閉させ、タービンと外部の発電機を磁石によって連動させる工夫をしている(図③)。また、非接触型の磁石を用いたバイナリー発電を詳細に構想する為、大崎市の磁石販売を行う会社であるプロスパインへの見学等を行った。

4.考察と今後の課題

バイナリー発電のコスト面やメンテナンス頻度の問題が解決されれば、地熱資源の活用をさらに加速出来ると考えられる。

バイナリー発電の模型制作では、東北大学にて、水ではなく実際に低沸点媒体(『R-1234yf』沸点:29°Cを想定)を使用して実験する予定である。さらに、低沸点媒体の冷却を-72°Cまで低温になるドライアイスエタノールを使用する。

今後、バイナリー発電模型を実際に稼働させ、既に完成しているドライスチーム方式の発電模型との比較や、小中学生などへ向けた地熱発電に関する出前教室での説明などに活用することを目指す。