13:45 〜 15:15
[O11-P118] 太陽のシーイング変化は、高層の風の動きを反映するか
キーワード:シーイング、太陽像、高層大気、風向、太陽高度
1研究の背景と目的
本研究は、太陽のシーイング変化が高層の風の動きを反映するかを調査することを目的としている。太陽高度によるシーイングの変動が、大気層の影響を受けて異なる方向に揺れる現象を観測し、これをもとに高層の風向きとシーイングの関係を明らかにすることを目指す。
2方法
2-1実験1(太陽像のゆらぎ(シーイング変化)の計測)
2024年5月29日16:40、学校屋上でアストロソーラーフィルター付き望遠鏡を用い、太陽を1分間動画撮影した。動画は900枚の静止画に変換し、各画像で太陽中心から8方向を設定した(図1)。真の方位を求めるため、国立天文台の白色太陽像と黒点の位置を照合し、天の北極と一致するよう画像を回転した。さらに、球面三角法(余弦定理)により、
太陽高度24°・方位角280°・赤緯δ=6.33°・観測地緯度φ=35°を
式:cosγ=(cos(90-φ)- cos(90-δ)・cos(90-h))/(sin(90-h)・sin(90-δ))
に代入し、天頂と天の北極の角γ=54°を算出した。画像を54°右に回転させて正しい方位に補正した(図2)。その後、各方向の太陽円周部までの距離をpx単位で測定した。
2-2実験2(南中時の太陽シーイングの観測)
2024年11月09日13:40、太陽が南中高度にあるときに、実験1と同様の手法で動画を撮影し、データ処理を行った。図3は正しい方位に補正した後の太陽の8方位である。
2-3実験3(太陽高度とシーイング変化の関係)
2025年3月30日9:30〜14:30、1時間ごとに太陽動画を撮影し、500枚の静止画像に変換後、実験1と同様に画像処理を行った。図4は正しい方位に補正した後の太陽の8方位である。
2-4測定精度
ImageJを用いて太陽像の明るさの変化を解析し、輪郭線をはっきりと抽出した。その際、輝度変化のなだらかな部分に対して補間処理を行い、輪郭の位置を0.2ピクセル単位で測定した。
3結果
図5〜図12は、各方位の測定値、黄色の領域は、気象庁のデータによるその日の高層の風の流動方向である。
3-1実験1
図5より①ー②、⑦ー⑧の向きの半径の値が他の方向における半径の値よりも乱れていることがわかる。
3-2実験2
図6より③ー④の向きの半径の値が他の方向における半径の値よりも乱れていることがわかる。
3-3実験3
図7では①ー②、⑦ー⑧の向きの半径の値が乱れている。図8〜図11では⑤ー⑥の向きの値が乱れていることがわかる。14時30分(図12)では地平線方向に近い方向におけるシーイングが悪い傾向がある。今後分析を続け、詳細を報告する予定である。
4考察
太陽高度が低い位置にあるとき、地平線方向に近づくほどシーイングの変動が大きくなった。これは太陽の揺らぎと大気の変動との関係性があることを示している。高い太陽高度で観測された揺らぎの方向は、高層の風向きと一致しており、高層の風の流れを反映していると考えられる。また、実験3の9:30(図7)では太陽円周部が地平線方向に揺れたが、10:30(図8)では高層風の流れに沿って揺れが変化しており、揺らぎの原因となる大気層が地表付近から高い層へ移行した可能性がある。
5結論
太陽高度が低いときは地平線方向に、高いときは高層大気の風向と一致する方向に太陽像が揺らぐ。このことから、太陽の高度に応じて、シーイングに影響を与える大気の層が異なる可能性が示された。今後の課題として、どの地上高の大気がシーイングに影響を与えているのかを明らかにする予定である。
6参考文献
(1)国立天文台HP https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/horizontal.cgi
(2)地平座標から赤道座標への変換 http://park12.wakwak.com/~maki/hc2ec.htm
(3)球面三角形の角度 https://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/SphereTriangle/
(4)気象庁HP https://www.jma.go.jp/jma/index.html
本研究は、太陽のシーイング変化が高層の風の動きを反映するかを調査することを目的としている。太陽高度によるシーイングの変動が、大気層の影響を受けて異なる方向に揺れる現象を観測し、これをもとに高層の風向きとシーイングの関係を明らかにすることを目指す。
2方法
2-1実験1(太陽像のゆらぎ(シーイング変化)の計測)
2024年5月29日16:40、学校屋上でアストロソーラーフィルター付き望遠鏡を用い、太陽を1分間動画撮影した。動画は900枚の静止画に変換し、各画像で太陽中心から8方向を設定した(図1)。真の方位を求めるため、国立天文台の白色太陽像と黒点の位置を照合し、天の北極と一致するよう画像を回転した。さらに、球面三角法(余弦定理)により、
太陽高度24°・方位角280°・赤緯δ=6.33°・観測地緯度φ=35°を
式:cosγ=(cos(90-φ)- cos(90-δ)・cos(90-h))/(sin(90-h)・sin(90-δ))
に代入し、天頂と天の北極の角γ=54°を算出した。画像を54°右に回転させて正しい方位に補正した(図2)。その後、各方向の太陽円周部までの距離をpx単位で測定した。
2-2実験2(南中時の太陽シーイングの観測)
2024年11月09日13:40、太陽が南中高度にあるときに、実験1と同様の手法で動画を撮影し、データ処理を行った。図3は正しい方位に補正した後の太陽の8方位である。
2-3実験3(太陽高度とシーイング変化の関係)
2025年3月30日9:30〜14:30、1時間ごとに太陽動画を撮影し、500枚の静止画像に変換後、実験1と同様に画像処理を行った。図4は正しい方位に補正した後の太陽の8方位である。
2-4測定精度
ImageJを用いて太陽像の明るさの変化を解析し、輪郭線をはっきりと抽出した。その際、輝度変化のなだらかな部分に対して補間処理を行い、輪郭の位置を0.2ピクセル単位で測定した。
3結果
図5〜図12は、各方位の測定値、黄色の領域は、気象庁のデータによるその日の高層の風の流動方向である。
3-1実験1
図5より①ー②、⑦ー⑧の向きの半径の値が他の方向における半径の値よりも乱れていることがわかる。
3-2実験2
図6より③ー④の向きの半径の値が他の方向における半径の値よりも乱れていることがわかる。
3-3実験3
図7では①ー②、⑦ー⑧の向きの半径の値が乱れている。図8〜図11では⑤ー⑥の向きの値が乱れていることがわかる。14時30分(図12)では地平線方向に近い方向におけるシーイングが悪い傾向がある。今後分析を続け、詳細を報告する予定である。
4考察
太陽高度が低い位置にあるとき、地平線方向に近づくほどシーイングの変動が大きくなった。これは太陽の揺らぎと大気の変動との関係性があることを示している。高い太陽高度で観測された揺らぎの方向は、高層の風向きと一致しており、高層の風の流れを反映していると考えられる。また、実験3の9:30(図7)では太陽円周部が地平線方向に揺れたが、10:30(図8)では高層風の流れに沿って揺れが変化しており、揺らぎの原因となる大気層が地表付近から高い層へ移行した可能性がある。
5結論
太陽高度が低いときは地平線方向に、高いときは高層大気の風向と一致する方向に太陽像が揺らぐ。このことから、太陽の高度に応じて、シーイングに影響を与える大気の層が異なる可能性が示された。今後の課題として、どの地上高の大気がシーイングに影響を与えているのかを明らかにする予定である。
6参考文献
(1)国立天文台HP https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/horizontal.cgi
(2)地平座標から赤道座標への変換 http://park12.wakwak.com/~maki/hc2ec.htm
(3)球面三角形の角度 https://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/SphereTriangle/
(4)気象庁HP https://www.jma.go.jp/jma/index.html
