日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P125] 機械学習による富士山の見え方の自動判別

*海野 俊太1、菅野 なるみ1、高崎 歩里1 (1.東京都立立川高等学校)

キーワード:富士山、機械学習、Yolov9

はじめに
本校天文気象部では約80年前から視程の観測を行い、本部の先輩の田口(2018)が過去の大気汚染と悪視程との関連を探った。2019年には浜島ほか(2019)が一眼レフカメラを制御する都心方面の自動撮影装置を開発し、目視による観測と合わせて、気象現象との関連を探り、新川、竹添(2021)は富士山方面の自動撮影装置を開発し50年分の富士山の見え方と気象現象について研究した。都心方面の撮影データについては山野邊、安原、島貫(2023)の研究において視程の自動判別プログラムの開発が行われ現に活用されているが、富士山方面については2021年以来あまり活用されていなかった。そこで本研究では富士山方面についても都心方面と同じように見え方の自動判別プログラムの開発を行い、判別を効率化することによって分析をより短時間で容易に行えるようにする。
研究方法
本部の新川ほか(2021)が自動観測装置において撮影された富士山方面の画像を用いて機械学習を行い、富士山の見え方を自動判別するプログラムを作成した。具体的な手順については以下の通りである。

1. 自動観測装置により撮影された富士山方面の画像*約830枚を収集し、
  手動で以下の3段階に分類:「見える」 「部分的に見える」 「完全に見えない」 (具体的な手順については図4参照)
2. 分類した画像にアノテーション(富士山に印をつける)を施す。
3. YOLOv9公式の事前学習モデル gelan-c.pt を使用し、転移学習を実施して機械学習モデルを作成。

*気象条件や時間が偏らないように、2025年1月1日から10日までの画像を選定。

結果と考察
全体的な精度としては93.5パーセントを記録した。具体的には「見える」については97.1パーセント、「部分的に見えない」については90.0パーセントの精度を記録した。以上のようにいずれにおいても高い精度を記録した。この要因には「部分的に見える」という新たな指標を導入したことによってあいまいな場合に人間が分類する際のずれを解消できたことが大きいと考えられる。ただ用いた画像数が約830枚と少なくモデルとしての信頼性はまだ十分ではないということには留意しなければならない。

今後の展望
今回は少ない画像数の中でこのモデルを作成したので、今後1500から2000枚の画像の分類を終わらせて新たな機械学習モデルを作成して再度精度を検証したい。また画像を撮影後すぐに自動的に判別プログラムにかけて結果を山野邊、安原、水澤(2024)で作成されたデータベースに自動で記録するシステムを構築し、データの分析を容易にしたい。また、富士山に見られる特徴的な雲(ex:笠雲、前掛け雲、つるし雲)などについても自動撮影データを収集し、これらも機械学習を用いて自動判別できるようなプログラムを開発したい。

参考文献
1)安原知廣,山野辺縁,島貫いく(2024). 「視程観測の自動化と気象観測システムの構築」. 『日本地球惑星科学連合2024年大会』 
2)安原拓未, 井上晴貴, 戸田晃太, 新川凌央, 牛坂友哉(2021). 「視程観測の自動化と気象観測システムの開発」. 『第10回高校・高専気象観測機器コンテスト』  
3)新川凌央・竹添麟 (2020). 「富士山観測装置 FUYOU(芙蓉) ~富士山の見え方と気象現象の関係を探る~」 『第9回高校・高専気象観測機器コンテスト』 
4)ちゃんたつ(2024). 「【第19回】YOLOv9で自作データセットを用いて学習画像認識」.https://chantastu.hatenablog.com/entry/2024/03/14/120221 . 2024年3月14日
5)Ultralytics(2025). 「YOLOv9:飛躍的に進歩した物体検出技術」. https://docs.ultralytics.com/ja/models/yolov9/ . 2025年4月1日
6) Kin-Yiu, Wong(2024) . 「gelan-c.pt」. https://github.com/WongKinYiu/yolov9/releases/download/v0.1/gelan-c.pt . 2024年2月18日
7) 安原知廣・山野邊縁・水澤資人(2024). 「天文気象観測システムの開発~視程及び流星の自動判別と観測データの一元化~」.『第7回中高生情報学研究コンテストサイト』
8) 田中陽登・馬場光希・浜島悠哉(2019). 「Clear Sky 視程観測の自動化」. 『第8回高校・高専気象観測機器コンテスト』