日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P19] 流星の輝線強度比による分類2025 vol.1

*今田 結優土1、*石神 和幸1、角田 紗希1、鈴木 陽菜1 (1.愛知県立一宮高等学校)

キーワード:流星、輝線強度、スペクトル解析

1. 研究背景・概要
一昨年度、本校先輩方の研究から流星群ごとの流星スペクトルには特徴があることが判明した。そのことから流星群ごとに含有する元素の割合に基づいて分類を行うことで、間接的に、流星群の母天体である彗星が含有する元素の解明に迫ることができ、また化学組成から母天体の活動に関して貴重な情報を得られるのではないかと考えた。そこで撮影した流星の動画から流星スペクトルの輝線強度比を測定し、ナトリウム、マグネシウム、鉄の発光強度比を三角グラフに示して分類した。ペルセウス座流星群の流星が観測されたため、ペルセウス座流星群においても分類・考察を行った。さらにその後、オリオン座流星群のデータも加えて考察した。

2. 研究手法
2-1機材・撮影方法
<一宮高校>
[1]モノクロビデオカメラWatec902H2Uレンズ(12㎜F1.4)(図1)
[2]ATOM Cam2(画角120°)…4個(北、北東、南東、南)(図2)
<ひるがの高原>
[1]モノクロビデオカメラWatec910HXレンズ(12㎜F1.4)
[2]ATOM Cam2(画角120°)…2個(東、南)
上記カメラ8台に透過型回折格子フィルム(エドモンド500本/㎜)を貼付し仰角30°~40°に設置し、[1]のカメラについては動体検出ソフトのUFO Captureを利用して流星を検出し、[2]のカメラについては「ATOM Cam2で流れ星を自動観測してみた。」というWebページを参考に、Pythonのツールを利用して流星を検出した。カメラはガラス水槽を逆さにしたケースを自作して設置し、ガラスの反射を防ぐため黒色フェルトをカメラの背面を覆うように配置した。[1] [2]いずれのカメラでも、流星であることを人の目で確認し、スペクトルが認められる明るい流星を対象とした。(図3)
2-2解析方法
[1] 回折格子フィルムを貼付したカメラにより流星の輝線スペクトルを分光し、撮影する。
[2] 流星を検知した動画にStellaImage8を使用して1/30または1/15秒毎の静止画に分割する。
[3] 画像処理ソフト「Makali`i」を用い、画像上で流星の輝線スペクトルのグラフを取る。
[4] ナトリウム、マグネシウム、鉄それぞれの元素を特定する。
[5] 夜空の明るさを抜き本来の流星のスペクトルのみを映し出すダーク補正、スカイ引きの代替として、ベースとなっている値を引き、ナトリウム、マグネシウム、鉄の発光強度比をピークの半値幅で取得したうえで、三角グラフに示す。
[6] 得られた三角グラフから流星のスペクトル分類を行う。(参考文献6[1]を参考にした)

3.結果
3−1散在流星
・全体的にナトリウム、マグネシウム、鉄の割合については、やや鉄が低いものの、三要素はほぼ同じ割合
にかたまっている。(図4 グレー)
・鉄が豊富な流星が存在していない。
・鉄が欠乏している流星を1つ確認。
・ナトリウムが欠乏している流星を3つ確認。

3−2流星群の流星
 3−2-1ペルセウス座流星群
ペルセウス座流星群の観測及びデータ分析が行えたデータは37個うち4個であった。(図4 黄)
ペルセウス座流星群の放射点は、ペルセウス座γ星付近である。スイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)である。2024年度のペルセウス座流星群の極大日は8月13日となっていた。
データから以下のことが分かった。
・全体的に鉄が散在流星に比べて欠乏気味
・3つの元素のばらつきが大きい

 3-2-2オリオン座流星群
オリオン群の流星で観測できたデータは10月17日から10月23日のもので5個である。(図4 青)
オリオン座流星群の放射点は、オリオン座α星(ベテルギウス)付近である。母天体はハレー彗星(1P/Halley)である。2024年度のオリオン座流星群の出現期間は極大日は10月21日となっていた。
・ペルセウス座流星群と比べてばらつきが少ない。

4.考察
4−1散在流星について
鉄が豊富な流星が存在しない点においては、
・データ量の不足
・鉄流星の量が少ない
・鉄流星の光が弱い
などの原因が考えられる。

4−2-1ペルセウス座流星群について
・ばらつきが大きいため、考察はしにくい。

4−2-2オリオン座流星群について
比較的中心に位置しているため母天体であるハレー彗星の3つの元素は同程度含まれていると考えられる。

5.課題点
・カメラの感度、画素数の不足  →データ量への不安
・大気のスペクトルの影響    →データの正確性への不安
・使用機材[1]と[2]の感度の違い →データの正確性への不安

6.参考文献
[1]阿部研究室OB小川巧覽氏
「ふたご座流星群メテオロイドのナトリウム変動量から探る太陽加熱効果の調査」
[2]J.Borovicka「A survey of meteor spectra and orbits」
[3]一宮高校地学部「輝線原子特定による流星高度と輝線強度の関係2024」
[4]Excelで三角グラフを作成する方法 – Doroblog
[5]理科年表 令和4年 -丸善出版
[6]JPL Small-Body Database Browser[7]「ATOM Cam2で流れ星を自動観測してみた。」