日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P49] 液状化現象発生時におけるマンホールの形状と浮き上がりの関係

*増子 美優1、*長友 結里恵1、*家田 灯治1、*堀田 陽喜1 (1.茨城県立日立第一高等学校)

キーワード:液状化現象、マンホール、防災

1.背景と目的
近年地震発生時において、液状化現象の事例が多く見られる(図11))。液状化現象とは地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象のことをいう。液状化が発生すると、それまで安定していた地盤が急に柔らかくなるため、その上に立っていた建物が傾いたり、地中に埋まっていたマンホールが浮き出たりする。今回私たちはこのマンホールの浮上に注目した。

先行研究2)で、マンホールの浮上対策として、地盤の改良や締固めの強化など5通りの方法が検討されていたが、浮上防止効果と実現性の両方が高い対策はない。そこで本研究は、液状化現象発生時におけるマンホールの形状と浮き上がりの関係を明らかにすることを目的とする。

2.データおよび解析方法
水槽の模擬地盤(図4)にマッサージ機で下から振動を与えて液状化を起こす。
模型が完全に浮上するまでにかかった時間を計測する。
実験1:プラスチック板で作成した体積、底面積一定の模型を使用(図2)。
   ガラスビーズ16kg、水2.8ℓ(質量含水比0.15)の地盤
実験2:3Dプリンターで作成した、体積、密度、底面積一定の模型を使用(図3)。
   山砂3.7ℓ、1.3ℓ(堆積含水比0.26)の地盤
模型の体積を一定に保つことで浮力を一定にし、模型の底面積を揃えることで、側面積の違いによる浮上の仕方に焦点を当てた。実験1では、プラスチック板で手作りの模型を作成したが、防水テープの使用量などの違いにより、模型ごとに質量が若干異なり、密度を揃えることができなかった。そのため、実験2では3Dプリンターを使用し、より正確に密度を揃えた模型を作成した。
先行研究によれば、堆積含水比0.27以上で完全液状化が起こることが分かっている。実験1ではガラスビーズが水を吸わないため、ガラスビーズに対し、水が多くなってしまった。そのため、試行実験を行い、液状化に最適な含水比を求めた。また、実験1では質量含水比で考えていたため、堆積含水比に比べて値が小さくなってしまった。実験2では、本実験で使用した山砂では堆積含水比0.27で初めから水の層ができてしまったため、0.26に設定して実験を行った。

3.結果
実験1
頂点数が大きくなるほど浮上しやすい(図5)。

実験2
頂点数3-5までは、頂点数が大きくなるほど浮上しやすくなり、
頂点数5-円まで、頂点数が大きくなるほど浮上しにくくなった(図6)。

4.考察と今後の課題
実験1
先行研究3)のマンホール浮上量の式(図7)で実験結果の確かさを検証した。この式において、 A₀はマンホール浮上量、Aはマンホールの断面積、H₂はマンホール模型の高さ、γsatは液状化層の飽和単位体積重量、Wはマンホール模型の質0量、Qtはマンホール周辺地盤の剪断抵抗を表す。
浮上量A 0 が負の値ではあるが、実験と同じく、三角柱の値が最小で、六角柱の値が最大となった。浮上量 A0が負の値となってしまったが、実験結果と同様に、三角柱の値が最小で、六角柱の値が最大となった(図8)。
これらの結果を踏まえて、模型の底面の頂点数が大きくなるほど、マンホールは浮上しやすいと推察する。
剪断抵抗は地盤と模型の間の抵抗値のため、浮上量は側面積の大きさに関係すると推察する。

実験2
実験1のグラフは仮説通り右肩下がりの近似線になったが、実験2では同様の傾きにはならなかったため、仮説の証明はできなかった。
しかし、実験1と2ともに三角柱から五角柱にかけて仮説通り浮上しやすくなり、五角柱を境に浮上しにくくなるという同様の傾向を示した。
そのため、実験1までは頂点数が大きくなると浮上量も大きくなるという一定関係だと考えていたが、このように一定関係ではない可能性が見えてきた。

5.今後の課題
マンホールの形状の違いのみを検証するために、粒径が一定のガラスビーズを使用し、粒度分布を揃える。また、円形と同じくマンホールの蓋の落下防止に適したルーローの三角形の模型も作る。

謝辞
本研究にご支援、ご指導くださった日立企業局上下水道部の皆様、BEST2AIMS株式会社 柴田裕一様、にこの場をお借りして深謝いたします。

参考文献
1)全国プレホール工業会, https://prehole.gr.jp/(2025年4月現在)
2) ユメナビ、https://yumenavi.info/reference/g0044902.pdf
3) 服部弘治,三島史.1-(1)-1非開間マンホール学上和制工法の開発.東京都下水道局技術調査年報-2007-.2007,p35-39.(2025年4月現在)