日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P60] 分光観測によるガリレオ衛星の大気組成とその変化に関する考察

*新井 悠太1、横井 綾羽1、大塚 快人1、井口 未夢1、岡崎 帆夏1 (1.横浜市立戸塚高等学校)

キーワード:ガリレオ衛星、可視光スペクトル

本研究はガリレオ衛星であるイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの大気組成に関する調査であり、これらの衛星の大気成分の時間経過に伴う変化を観測することを目標とする。
 本校所有の口径35cm望遠鏡と分光器を用いて可視光域のスペクトルを、イオでは、1/27・3/14・3/21・3/2の4回、エウロパでは、1/23・1/30・3/21・3/28の4回、ガニメデでは3/14の1回、カリストは1/23の1回撮影した。なお、比較用として各観測で木星のスペクトルも撮影した。すばる画像解析ソフトMakali’iを用いて、画像処理し、Makali’iのグラフ機能を用いてスペクトルを作成した。そのスペクトルにみられる吸収線の波長から大気成分を同定した。元素の存在量はExcelに起こしたスペクトルにみられる元素特有の吸収線の幅及び深さに対応した三角形の面積で推測する。そして、衛星の面積(e)/木星の面積(m)を求めた。この値が1を上回っているならばその成分は衛星に含まれていると判断する。
 その結果、イオ、エウロパでは、マグネシウム(以下Mg)や水素が存在すると判断した。特にHα、Hβ、Hγ、Hδでは観測日によって吸収線のe/mの値の比較的大きな変化が見られた。また、イオではMgのe/mが1.3倍を保っていた。しかし、面積は少し変わっており、木星の面積が増えるとイオの面積も増加した。ガニメデでは、e/mの値がナトリウムで2.1、鉄で2、カルシウムイオン(3933Å)で1.3、カルシウムイオン(3968Å)で1.7、Hδで2.8となり、大気中に存在すると判断した。
 このことから、木星のMgの面積とイオのMgの面積には何らかの関係があるのではないかと考えた。そこで、横軸を木星のMgの面積、縦軸をイオのMgの面積とした散布図を作成した。すると決定定数0.97という強い正の相関のある一次関数のようになった。同様の操作をエウロパでも行ったところ決定定数0.86となり、似たような結果が得られた。さらに、この1次関数は傾きがエウロパの方が小さく、木星から離れるほど木星の光の影響が小さくなることに対応している。この1次関数のy切片は木星の面積が0、すなわち木星の影響がないときと言い換えられるので、その成分のイオ単体での吸収線の面積といえる。ところが、この作業をイオの水素で行ったところ、決定定数がそれぞれHαでは0.38、Hβでは0.18、Hγでは0.10、Hδでは0.16と相関がみられなかった。現れる1次関数のy切片はイオのみでの吸収線の面積を表している。前述のとおりイオでは水素の吸収線の面積が変化しているため、観測ごとのy切片が異なり1次関数にならなかったと考えられる。水素の可視光域の吸収線で最も紫外よりのHδの増減に注目し、イオに与えられるエネルギー量が何らかの原因で変化したと考えた。その原因の候補としてイオより外側を回っているエウロパの潮汐力の変化ではないかと考え、国立天文台が中心になって開発したシミュレーションソフトであるmitakaを利用して、観測日のガリレオ衛星の位置を確認した。すると、Hδが最も多かった1/27はイオが木星とエウロパに挟まれた状況に近かった。また同様の現象はナトリウムでも見られた。ナトリウムはイオの火山ガスの成分であるため、水素も火山から発生していると考えられる。これは硫化水素や水が何らかの化学反応を起こして水素が発生したと解釈できるが、科学的証拠がないため今後の研究課題といえる。