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[O11-P69] 山梨県大菩薩嶺~大菩薩峠の付近で読み取れる地質に基づく、付近でみられた石英及び褐廉石についての考察
キーワード:大菩薩峠、褐廉石、メタミクト化
令和5、6年度にかけて山梨県甲州市から丹波山村にまたがる大菩薩嶺に、所属している理科研究部の科学観察の合宿で2回、都立武蔵高校山岳部同窓会およびジオトレアカデミー主催の「大菩薩ジオツアー」で2回の計4回訪れた。その際に、滞在した場所の付近に褐簾石の産地があるという情報をインターネット上で得たため、記載された情報を頼りに産地を捜索、発見した。枯れ沢のようなくぼんだ地形に沿って石英脈が存在しており、稀に褐簾石を伴った岩石を見つけることができた。岩石中のものと石英を伴うものが同じくらいの頻度でみられ、岩石中のものは褐廉石の周りの岩石が変色していることが確認できた。褐簾石は放射性元素を含み、同心円状のシミのような放射性ハロが認められることがあるため、この鉱物は褐簾石で間違いないと判断した。柱状結晶が観察でき(図)、メタミクト化し結晶が破壊されたと思われるものも観察できた。
褐簾石とは緑簾石の仲間で、CeやYといった希土類元素を多く含むケイ酸塩鉱物である。英名はAllanite。多くの元素が含まれているが、斜灰簾石のCa2+がLa3+、Ce3+などの希土類に、Al3+がFe2+,Mn2+の対置換が進んだものと考えられている。褐廉石の劈開は一方向に完全だが、UやThなどの放射性元素が含まれ、結晶構造が破壊される(メタミクト化する)ために劈開が認められないことも多い。色は褐色から黒で、ガラス光沢をもち不透明な亜金属である。条痕は褐色〜黒、モース硬度5.5、比重3.3〜4.2。95℃で高温発光する。少量ながら花崗岩中に広く含まれている。日本の主要な産地としては、福島県水晶山の花崗岩ペグマタイト、京都府北白川の大文字山の花崗岩、三重県福田山の花崗岩ペグマタイトなどがある。特に、大文字山の褐廉石は日本で最初に発見されたもので、京都府のレッドデータブックにも記載されておりこの資料を執筆する上でも参考にした。
褐廉石が採集できた産地は、新生代新第三期中新世に貫入した花崗岩由来のペグマタイトとされている。この地域は西側がその花崗岩で構成された甲府岩体でできており、東側は四万十体とよばれる付加体による。産地から登山道を登っていく途中にみられる露頭は砂岩層であり、産総研シームレス地質図によると産地付近の地質も砂岩層であることから部分的に花崗岩ペグマタイトが露出したものと思われる。
また、現状分かっていることは文献に記載されている内容とサンプルを観察して読み取ったことにとどまっているため、JpGu2025当日までにサンプルを用いてより詳しい分析を行いたいと思っている。具体的には、ガイガーカウンターを用いて放射線量を測定し、メタミクト化した部分としていない部分の放射線量の違いはあるのかということや、トリウムを呈色法で確認できないかなどを検討している。また、産地の情報を得たインターネットのページや、参考にした文献の中に、長島乙吉・弘三父子先生の著書である「日本希元素鉱物」に褐廉石についての情報が記載されているとあったため、実際に読んで参考にしたい。
JpGU2025の高校生セッションでの発表当日は、採集したサンプルや文献に基づく褐廉石についての情報を伝えることを通して、鉱物や岩石、それに関係する地質などの興味を深めていただき、最終的には地学の魅力を伝えることも目的の一つである。
引用
下林典正・石橋隆監修、2014、プロが教える 鉱物・宝石のすべてがわかる本、ナツメ社 p.158,159
藤原卓編著、2014、必携鉱物鑑定図鑑、益富地学会館、p.173
青木正博監修、2014、鉱物コレクション、誠文堂新光社、p.38,114
京都府、2015、京都府レッドデータブックhttps://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/geo/db/soi0087.html
産総研地質調査総合センター、2024、20万分の1日本シームレス地質図
https://gbank.gsj.jp/seamless/
褐簾石とは緑簾石の仲間で、CeやYといった希土類元素を多く含むケイ酸塩鉱物である。英名はAllanite。多くの元素が含まれているが、斜灰簾石のCa2+がLa3+、Ce3+などの希土類に、Al3+がFe2+,Mn2+の対置換が進んだものと考えられている。褐廉石の劈開は一方向に完全だが、UやThなどの放射性元素が含まれ、結晶構造が破壊される(メタミクト化する)ために劈開が認められないことも多い。色は褐色から黒で、ガラス光沢をもち不透明な亜金属である。条痕は褐色〜黒、モース硬度5.5、比重3.3〜4.2。95℃で高温発光する。少量ながら花崗岩中に広く含まれている。日本の主要な産地としては、福島県水晶山の花崗岩ペグマタイト、京都府北白川の大文字山の花崗岩、三重県福田山の花崗岩ペグマタイトなどがある。特に、大文字山の褐廉石は日本で最初に発見されたもので、京都府のレッドデータブックにも記載されておりこの資料を執筆する上でも参考にした。
褐廉石が採集できた産地は、新生代新第三期中新世に貫入した花崗岩由来のペグマタイトとされている。この地域は西側がその花崗岩で構成された甲府岩体でできており、東側は四万十体とよばれる付加体による。産地から登山道を登っていく途中にみられる露頭は砂岩層であり、産総研シームレス地質図によると産地付近の地質も砂岩層であることから部分的に花崗岩ペグマタイトが露出したものと思われる。
また、現状分かっていることは文献に記載されている内容とサンプルを観察して読み取ったことにとどまっているため、JpGu2025当日までにサンプルを用いてより詳しい分析を行いたいと思っている。具体的には、ガイガーカウンターを用いて放射線量を測定し、メタミクト化した部分としていない部分の放射線量の違いはあるのかということや、トリウムを呈色法で確認できないかなどを検討している。また、産地の情報を得たインターネットのページや、参考にした文献の中に、長島乙吉・弘三父子先生の著書である「日本希元素鉱物」に褐廉石についての情報が記載されているとあったため、実際に読んで参考にしたい。
JpGU2025の高校生セッションでの発表当日は、採集したサンプルや文献に基づく褐廉石についての情報を伝えることを通して、鉱物や岩石、それに関係する地質などの興味を深めていただき、最終的には地学の魅力を伝えることも目的の一つである。
引用
下林典正・石橋隆監修、2014、プロが教える 鉱物・宝石のすべてがわかる本、ナツメ社 p.158,159
藤原卓編著、2014、必携鉱物鑑定図鑑、益富地学会館、p.173
青木正博監修、2014、鉱物コレクション、誠文堂新光社、p.38,114
京都府、2015、京都府レッドデータブックhttps://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/geo/db/soi0087.html
産総研地質調査総合センター、2024、20万分の1日本シームレス地質図
https://gbank.gsj.jp/seamless/
