13:45 〜 15:15
[O11-P70] モナズ石由来の放射線測定と電力への応用
キーワード:モナズ石、γ線、放射性崩壊
モナズ石由来の放射線測定と電力への応用
Monazite-derived radiation measurement and its application to electric power
1.背景・目的
近年、世界では人口増加に伴い、電力を中心としたエネルギー需要が増加している。そして、以前より安定した電力供給が可能であり、高い経済効率を持つ火力発電はそのエネルギー需要を満たす役割を担ってきた。一方、火力発電には化石燃料の有限性や環境への負荷などの問題点も見られる。そのため、現在では環境への負担が少ない原子力発電や再生可能エネルギーを利用した発電なども開発されている。しかし、原子力発電は原発事故をきっかけとして、日本では導入の拡大が見送られている。また、再生可能エネルギーを利用した発電は、発電のエネルギー源によって発電場所が限られてしまう。そこで、本研究では原子力電池を発電のモデルとして発電を行うことを考えた。原子力電池を使用して発電を行うことによって、発電場所の制限を受けず、宇宙空間など幅広い範囲での発電が期待できるためである。しかし、原子力電池に使用されているプルトニウムは放射線量が多く、一般人では取り扱うことができない。また、人体に影響を及ぼす可能性もある。そこで、プルトニウムのような放射線量の多い放射性物質ではなく、放射線量の少ない物質を用いることで、原子力電池の制限をなくそうと考えた。以上より、本研究では放射線量の少ない放射性物質を用いて発電を行うことを想定し、必要になる放射性物質の量を求めることが最終目的である。
2.実験
使用した器具
実験では安価なモナズ石[図1]を放射線量の少ない物質として用いた。また、モナズ石から放出される放射線を測定する際にγ線検出器[図2]を用いた。γ線検出器は、検出器に入射した放射線が一時的に検出器内のシンチレータを構成する分子を励起状態にさせ、それらの分子が元の状態に戻る際に発せられたエネルギーを放射線の持つエネルギーとして記録を行う。
実験概要
まず、モナズ石とγ線検出器を固定した状態で測定を行った。しかし、前の状況だと自然放射線も測定値に含まれてしまう。そのため、モナズ石を取り外し、自然放射線のみの測定も行い、2つの測定値の差からモナズ石の持つエネルギー量を求めた。そして、得られたエネルギー量から1Wの電力を得るのに必要なモナズ石の量を見積もった。
手順1.
γ線検出器をモナズ石と接した状態で養生テープで固定し、早稲田大学西早稲田キャンパス63号館5階に設置した。検出器は自然放射線も検出できたため、モナズ石を取り外した状態での測定も行った。測定は数回に分けて行った。
手順2.
手順1で得られた値から計測値ノイズを除き、総エネルギー量を回数別に求めた。また、総エネルギー量を計測時間で割り、1日あたりに検出器が感知したγ線のエネルギー量を求めた。
手順3.
検出器は[keV]をエネルギー単位として記録を行うので、単位を[J]に変換した。そして、今回γ線検出器にモナズ石を固定して測定を行ったため、検出器と反対方向に放出された放射線は測定できていない可能性がある。そのため、実験で得たエネルギー量を2倍にし、1Wの電力を得るのに必要なモナズ石の量を求めた。
3.結果
モナズ石と自然放射線、また自然放射線のみの測定を行った結果、グラフは[図3]、[図4]のようになった。また、計測回別のエネルギー量は[表1]のようになった。そして、モナズ石単体から1日あたりに得られるエネルギー量は平均して7.603×105keVであり、これを変換すると1.180×10-10Jとなった。全方向に放出される放射線を考慮するため、倍加すると2.359×10-10Jになる。以上より、1Wの電力を得るには、モナズ石の量がおよそ3.662×1014個必要になることがわかった。
4.考察
結果より、モナズ石単独では発電には適さないと考えた。しかし、今回の実験ではγ線のみを測定したが、モナズ石は他にもα線やβ線などの放射線も放出する。そのため、今回の実験で得られたエネルギーよりもさらに多くのエネルギーを得られることが期待できるのではないかと考えた。
5.結論
モナズ石のγ線のみのエネルギーを用いた発電は現実的でないと言える。しかし、モナズ石から放出される全ての放射線のエネルギーも考慮すると、実験で得られたモナズ石の必要量よりも少ない量での発電も可能だと考えた。また、放射線量の少ない放射性物質はモナズ石の他にもいくつか挙げられる。そのため、モナズ石以外の放射線量の測定も行い、比較検討していくことが重要だと考えた。
Monazite-derived radiation measurement and its application to electric power
1.背景・目的
近年、世界では人口増加に伴い、電力を中心としたエネルギー需要が増加している。そして、以前より安定した電力供給が可能であり、高い経済効率を持つ火力発電はそのエネルギー需要を満たす役割を担ってきた。一方、火力発電には化石燃料の有限性や環境への負荷などの問題点も見られる。そのため、現在では環境への負担が少ない原子力発電や再生可能エネルギーを利用した発電なども開発されている。しかし、原子力発電は原発事故をきっかけとして、日本では導入の拡大が見送られている。また、再生可能エネルギーを利用した発電は、発電のエネルギー源によって発電場所が限られてしまう。そこで、本研究では原子力電池を発電のモデルとして発電を行うことを考えた。原子力電池を使用して発電を行うことによって、発電場所の制限を受けず、宇宙空間など幅広い範囲での発電が期待できるためである。しかし、原子力電池に使用されているプルトニウムは放射線量が多く、一般人では取り扱うことができない。また、人体に影響を及ぼす可能性もある。そこで、プルトニウムのような放射線量の多い放射性物質ではなく、放射線量の少ない物質を用いることで、原子力電池の制限をなくそうと考えた。以上より、本研究では放射線量の少ない放射性物質を用いて発電を行うことを想定し、必要になる放射性物質の量を求めることが最終目的である。
2.実験
使用した器具
実験では安価なモナズ石[図1]を放射線量の少ない物質として用いた。また、モナズ石から放出される放射線を測定する際にγ線検出器[図2]を用いた。γ線検出器は、検出器に入射した放射線が一時的に検出器内のシンチレータを構成する分子を励起状態にさせ、それらの分子が元の状態に戻る際に発せられたエネルギーを放射線の持つエネルギーとして記録を行う。
実験概要
まず、モナズ石とγ線検出器を固定した状態で測定を行った。しかし、前の状況だと自然放射線も測定値に含まれてしまう。そのため、モナズ石を取り外し、自然放射線のみの測定も行い、2つの測定値の差からモナズ石の持つエネルギー量を求めた。そして、得られたエネルギー量から1Wの電力を得るのに必要なモナズ石の量を見積もった。
手順1.
γ線検出器をモナズ石と接した状態で養生テープで固定し、早稲田大学西早稲田キャンパス63号館5階に設置した。検出器は自然放射線も検出できたため、モナズ石を取り外した状態での測定も行った。測定は数回に分けて行った。
手順2.
手順1で得られた値から計測値ノイズを除き、総エネルギー量を回数別に求めた。また、総エネルギー量を計測時間で割り、1日あたりに検出器が感知したγ線のエネルギー量を求めた。
手順3.
検出器は[keV]をエネルギー単位として記録を行うので、単位を[J]に変換した。そして、今回γ線検出器にモナズ石を固定して測定を行ったため、検出器と反対方向に放出された放射線は測定できていない可能性がある。そのため、実験で得たエネルギー量を2倍にし、1Wの電力を得るのに必要なモナズ石の量を求めた。
3.結果
モナズ石と自然放射線、また自然放射線のみの測定を行った結果、グラフは[図3]、[図4]のようになった。また、計測回別のエネルギー量は[表1]のようになった。そして、モナズ石単体から1日あたりに得られるエネルギー量は平均して7.603×105keVであり、これを変換すると1.180×10-10Jとなった。全方向に放出される放射線を考慮するため、倍加すると2.359×10-10Jになる。以上より、1Wの電力を得るには、モナズ石の量がおよそ3.662×1014個必要になることがわかった。
4.考察
結果より、モナズ石単独では発電には適さないと考えた。しかし、今回の実験ではγ線のみを測定したが、モナズ石は他にもα線やβ線などの放射線も放出する。そのため、今回の実験で得られたエネルギーよりもさらに多くのエネルギーを得られることが期待できるのではないかと考えた。
5.結論
モナズ石のγ線のみのエネルギーを用いた発電は現実的でないと言える。しかし、モナズ石から放出される全ての放射線のエネルギーも考慮すると、実験で得られたモナズ石の必要量よりも少ない量での発電も可能だと考えた。また、放射線量の少ない放射性物質はモナズ石の他にもいくつか挙げられる。そのため、モナズ石以外の放射線量の測定も行い、比較検討していくことが重要だと考えた。
