13:45 〜 15:15
[O11-P78] 火山地域におけるマグマ上昇場の推定
キーワード:火山、有珠、災害、災害科学、火山防災
1.背景と目的
有珠山2000年噴火は、2000年3月31日に西山山麓から噴火した。火口群を形成しながら噴火活動を続けたが、翌年5月にマグマ活動の終息宣言が発表された。
急な火山噴火は人々に大きな影響をもたらすと思い、噴火前に噴火口が分かれば被害を抑えることができるのではないかと私たちは考えた。そこで、マグマの中心が測定できれば噴火口もより探しやすくなるのではないかと思い、研究を始めた。
2.研究方法
今までの研究では有珠山巡検での測定で得たデータだけで結果を出していたが、散策路沿いのみでしかデータを測定することができず数が限られており、以下に記述する直交線が中心に向かっている状態ではなかったため、測定データを増やそうと考えた。だが有珠山は本校から遠く、足繁く行ける場所ではないためデータを増やすのに苦戦した。そのため、北海道室蘭栄高校の阿部英一先生にご協力いただき、噴火前と噴火後の等高線図の資料を頂戴した。その等高線図を使って測定を行うことで、現地に行かなくてもデータを取ることができると考え、本研究を展開した。
具体的な方法は以下の通りである。
1)等高線の幅がちょうど1cmのところを探し、水平距離を測定する。
2)1cmの間に等高線の数があればあるほど高さがあることが分かる。→傾斜測定
3)等高線と並行になるように、走向線を引く。
4)走向と傾斜を各ポイントで求める。(ポスターに図示)
5)上記1)~4)を噴火前・噴火後の図面それぞれで複数箇所行う。(今回はそれぞれ30箇所)
6)3D化できるアプリBlenderを使い、走向線と傾斜の交わったところに法線を引く。(※法線=直交線)
本研究の仮説は「法線の方向が火山の中心(マグマ上昇場;マグマ溜まり)の存在方向を表す」として、上記の方法でマグマ上昇場の推定を行った。
3.研究結果
3D化した図面上で測定データに基づく法線を引いたところ、ある程度集中すると考えていたが、結果として中心に集まっているとは言い切れなかった。
しかし先行研究による有珠山の特徴は、
①約1~2万年前に洞爺カルデラの南壁上に生じた成層火山と溶岩ドーム群からなる山なので、楯状火山よりもマグマだまりは比較的大きい。
②有珠山については、マグマ溜まりの深さは約15kmほどある。
よって3D図上で法線をもっと長く取れば、マグマだまりの存在する場、すなわちマグマ上昇場の中心に向かって法線が交差すると結論できる。
4.考察・今後の展望
今回の研究より、前回の研究と比べてデータが増え、よりマグマ溜まりの推定がしやすくなった。しかし、噴火前のデータによる3D化の壁にぶつかり、噴火後しか測定できていない。私たちは現存する噴火前のデータからも3D化を試みて噴火前・噴火後を比較しようと考えており、現在さまざまな方法を模索している。
特に噴火前のデータについて、過去に発行された国土地理院の数値地図(標高)や数値地図25000(画像)のCD-ROMデータを入手することに困難を伴った。やっと入手できた数値地図50000(画像)と数値地図 250m メッシュ (標高)、そして「カシミール3D」を用いて3D化を試みたところ、50000分の1地形図に基づく有珠山周辺についての3D画像を取ることはできた。
しかしBlenderへデータをもって行く前の前処理(SketchFabに.objファイルとtextureファイルを書き出す)については、カシミール3D上からはできないことが確認された。そのため、噴火前データを現在の3D化処理に対応させられておらず、噴火前の3D化が十分に完結できていない。
この研究方法の妥当性は有珠山だけでの研究では断言できないが、他の火山でも同様の結果になれば妥当性が得られるため、もっと色々な火山に応用できるよう研究を続けていきたい。ひいては、噴火前・噴火後ともに同様に測定して3D化できれば、有珠地域全体のマグマ上昇場を図示でき、20〜30年周期で繰り返される有珠山噴火の火山防災への「事前防災」に寄与できると考える。
5.謝辞、参考文献
今回の研究において北海道室蘭栄高等学校の阿部英一先生には、有珠山巡検の際に現地で直接ご指導頂きました。またデータ提供もして頂きました。そして、洞爺湖有珠火山マイスターネットワークの阿部秀彦先生には、有珠山・昭和新山の現地踏査で直接ご指導頂きました。ここに深く感謝の意を表します。
国土地理院.“地理院地図/GSI Maps”
仲野ほか(2001).2000年有珠山噴火時におけるヘリコプター搭載レーザースキャナーによる地形変化測定
室蘭栄高等学校.断層のつながりについて(有珠研究)
日本火山学会.マグマ溜まりから火山噴煙:観測と数理モデル
気象庁.北海道地方の活火山「有珠山」
有珠山2000年噴火は、2000年3月31日に西山山麓から噴火した。火口群を形成しながら噴火活動を続けたが、翌年5月にマグマ活動の終息宣言が発表された。
急な火山噴火は人々に大きな影響をもたらすと思い、噴火前に噴火口が分かれば被害を抑えることができるのではないかと私たちは考えた。そこで、マグマの中心が測定できれば噴火口もより探しやすくなるのではないかと思い、研究を始めた。
2.研究方法
今までの研究では有珠山巡検での測定で得たデータだけで結果を出していたが、散策路沿いのみでしかデータを測定することができず数が限られており、以下に記述する直交線が中心に向かっている状態ではなかったため、測定データを増やそうと考えた。だが有珠山は本校から遠く、足繁く行ける場所ではないためデータを増やすのに苦戦した。そのため、北海道室蘭栄高校の阿部英一先生にご協力いただき、噴火前と噴火後の等高線図の資料を頂戴した。その等高線図を使って測定を行うことで、現地に行かなくてもデータを取ることができると考え、本研究を展開した。
具体的な方法は以下の通りである。
1)等高線の幅がちょうど1cmのところを探し、水平距離を測定する。
2)1cmの間に等高線の数があればあるほど高さがあることが分かる。→傾斜測定
3)等高線と並行になるように、走向線を引く。
4)走向と傾斜を各ポイントで求める。(ポスターに図示)
5)上記1)~4)を噴火前・噴火後の図面それぞれで複数箇所行う。(今回はそれぞれ30箇所)
6)3D化できるアプリBlenderを使い、走向線と傾斜の交わったところに法線を引く。(※法線=直交線)
本研究の仮説は「法線の方向が火山の中心(マグマ上昇場;マグマ溜まり)の存在方向を表す」として、上記の方法でマグマ上昇場の推定を行った。
3.研究結果
3D化した図面上で測定データに基づく法線を引いたところ、ある程度集中すると考えていたが、結果として中心に集まっているとは言い切れなかった。
しかし先行研究による有珠山の特徴は、
①約1~2万年前に洞爺カルデラの南壁上に生じた成層火山と溶岩ドーム群からなる山なので、楯状火山よりもマグマだまりは比較的大きい。
②有珠山については、マグマ溜まりの深さは約15kmほどある。
よって3D図上で法線をもっと長く取れば、マグマだまりの存在する場、すなわちマグマ上昇場の中心に向かって法線が交差すると結論できる。
4.考察・今後の展望
今回の研究より、前回の研究と比べてデータが増え、よりマグマ溜まりの推定がしやすくなった。しかし、噴火前のデータによる3D化の壁にぶつかり、噴火後しか測定できていない。私たちは現存する噴火前のデータからも3D化を試みて噴火前・噴火後を比較しようと考えており、現在さまざまな方法を模索している。
特に噴火前のデータについて、過去に発行された国土地理院の数値地図(標高)や数値地図25000(画像)のCD-ROMデータを入手することに困難を伴った。やっと入手できた数値地図50000(画像)と数値地図 250m メッシュ (標高)、そして「カシミール3D」を用いて3D化を試みたところ、50000分の1地形図に基づく有珠山周辺についての3D画像を取ることはできた。
しかしBlenderへデータをもって行く前の前処理(SketchFabに.objファイルとtextureファイルを書き出す)については、カシミール3D上からはできないことが確認された。そのため、噴火前データを現在の3D化処理に対応させられておらず、噴火前の3D化が十分に完結できていない。
この研究方法の妥当性は有珠山だけでの研究では断言できないが、他の火山でも同様の結果になれば妥当性が得られるため、もっと色々な火山に応用できるよう研究を続けていきたい。ひいては、噴火前・噴火後ともに同様に測定して3D化できれば、有珠地域全体のマグマ上昇場を図示でき、20〜30年周期で繰り返される有珠山噴火の火山防災への「事前防災」に寄与できると考える。
5.謝辞、参考文献
今回の研究において北海道室蘭栄高等学校の阿部英一先生には、有珠山巡検の際に現地で直接ご指導頂きました。またデータ提供もして頂きました。そして、洞爺湖有珠火山マイスターネットワークの阿部秀彦先生には、有珠山・昭和新山の現地踏査で直接ご指導頂きました。ここに深く感謝の意を表します。
国土地理院.“地理院地図/GSI Maps”
仲野ほか(2001).2000年有珠山噴火時におけるヘリコプター搭載レーザースキャナーによる地形変化測定
室蘭栄高等学校.断層のつながりについて(有珠研究)
日本火山学会.マグマ溜まりから火山噴煙:観測と数理モデル
気象庁.北海道地方の活火山「有珠山」
