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[O11-P82] 正確で簡易な陶土の可塑性評価方法の検討 ~土を科学する~
キーワード:森林、嵯峨野高校校有林、土性、粘土鉱物、JIS
1 序論
本校では、嵯峨野高校校有林の岩石風化層を用いた陶器製作“嵯峨野焼”作りを目指してきた。よい陶土の条件として、適度な吸水性、可塑性、粘着性、高温耐久性等の性質が求められる(谷口ら, 2024)。校有林土は、X 線回折結果から、2:1 型層状ケイ酸塩鉱物のバーミキュライト(Vermiculite)やイライト(Illite)等の粘土鉱物が含まれることが明らかにされている(大久保, 2017)。また、校有林土は、赤みのある個性的な陶土ではあるが、粗砂画分を含むこと、シルト画分が少ないことから、素人には扱いにくいとの評価を受けている(谷口, 2024)。
井尻(2024),田邊(2024)は、陶土の可塑性評価方法として、アッターベルグ法(JIS規格)等を採用したが、評価にかかる時間が長く、値がマイナスになるなど、正確な値を得ることが困難で、新たな分析方法の検討が必要であることを報告している。
本研究では、容易かつ迅速に可塑性を評価する方法を開発することを目的とした。
2 方法
試料は、市販されている赤土、白土、もぐさ土とした。また、比較試料として、試薬として販売されているモンモリナイト(Montmorillonite)とカオリナイト(Kaolinite)を用いた。陶土の物理性の評価として、塑性指数Ip(試料が塑性状態にある含水率の大きさ)、コンシステンシー指数Ic(試料の硬さ、安定度を表す値)を測定した(谷口,2024)。可塑性の評価については、毛細管粘度計を用いた可塑性評価から着想し一定の圧力で垂直に押し出すことができる10mlテルモシリンジを用いた方法を提案する。仮にこの方法を、RN式シリンダー法と呼ぶ。なお、測定は気泡を含まないようにシリンジ内に充填し実施した。具体的には、ピストンを垂直に立て、おもりをピストンの上にゆっくり乗せて試料押し出した。少量出てきたときの土の含水率は、AND株式会社製加熱乾燥水分計(MX50P1063203)を用いて求めた。この工程を、3回繰り返し、平均値を算出した。重さは、1 - 5 ㎏とした。比較対象として、アッターベルグ法とペッファーコルン法を採用した。
3 結果及び考察
アッターベルグ法及びペッファーコルン法を用いた結果、可塑性の値は、赤土、もぐさ土、白土の順で高かった。測定には、1試料あたりおおよそ1時間を要した。一方、RN式シリンダー法は、もぐさ土、白土の順で可塑性が高いことがわかり、従来法より3分の1程度の時間で結果が得られた。また、もぐさ土と白土はおもりの重さと含水率に関するグラフは概ね直線回帰した。赤土はおもりの重さを変えても含水率の変化がほとんどなく、測定が困難であった。これは、赤土に鉄イオン(レピドクロサイト(Lepidocrocite))が多いことが原因だと考えられた。さらにモンモリナイトは層間水を含むため、加熱乾燥水分計では全ての水を飛ばすことができず、含水率を正しく測ることができないと考えられた。一方、カオリナイトは他の土と比べ含水率の誤差が小さく、RN式シリンダー法は正確性が保たれていると判断した。
4 結論
もぐさ土と白土の可塑性は、従来法とRN式シリンダー法の値が同程度であったことから、RN式シリンダー法は、十分に可塑性が評価できると考えられた。また、おもりの重さに関わらず可塑性の順位が変わらないため、適用範囲は広いことがわかった。
今後、RN式シリンダー法を用いた校有林土の可塑性の評価が期待される。
5 参考文献
・井尻柚月,2024. 粗砂除去による嵯峨野高等学校校有林陶土の可塑性の向上. スーパーサイエンスラボ研究報告書集2024, 京都府立嵯峨野高等学校. 70‐71.
・田邉愛実,2024. 陶土の種類によるオカリナの音色比較.スーパーサイエンスラボ研究報告書集2024, 京都府立嵯峨野高等学校. 72‐73.
・小栗賢太・藤本久和・伴野巧・佐野三郎・芝崎靖雄・小田喜一,1999. カオリナイト質粘土のレオロジー特性と可塑性,粘土科学,38(1)-39(4).
本校では、嵯峨野高校校有林の岩石風化層を用いた陶器製作“嵯峨野焼”作りを目指してきた。よい陶土の条件として、適度な吸水性、可塑性、粘着性、高温耐久性等の性質が求められる(谷口ら, 2024)。校有林土は、X 線回折結果から、2:1 型層状ケイ酸塩鉱物のバーミキュライト(Vermiculite)やイライト(Illite)等の粘土鉱物が含まれることが明らかにされている(大久保, 2017)。また、校有林土は、赤みのある個性的な陶土ではあるが、粗砂画分を含むこと、シルト画分が少ないことから、素人には扱いにくいとの評価を受けている(谷口, 2024)。
井尻(2024),田邊(2024)は、陶土の可塑性評価方法として、アッターベルグ法(JIS規格)等を採用したが、評価にかかる時間が長く、値がマイナスになるなど、正確な値を得ることが困難で、新たな分析方法の検討が必要であることを報告している。
本研究では、容易かつ迅速に可塑性を評価する方法を開発することを目的とした。
2 方法
試料は、市販されている赤土、白土、もぐさ土とした。また、比較試料として、試薬として販売されているモンモリナイト(Montmorillonite)とカオリナイト(Kaolinite)を用いた。陶土の物理性の評価として、塑性指数Ip(試料が塑性状態にある含水率の大きさ)、コンシステンシー指数Ic(試料の硬さ、安定度を表す値)を測定した(谷口,2024)。可塑性の評価については、毛細管粘度計を用いた可塑性評価から着想し一定の圧力で垂直に押し出すことができる10mlテルモシリンジを用いた方法を提案する。仮にこの方法を、RN式シリンダー法と呼ぶ。なお、測定は気泡を含まないようにシリンジ内に充填し実施した。具体的には、ピストンを垂直に立て、おもりをピストンの上にゆっくり乗せて試料押し出した。少量出てきたときの土の含水率は、AND株式会社製加熱乾燥水分計(MX50P1063203)を用いて求めた。この工程を、3回繰り返し、平均値を算出した。重さは、1 - 5 ㎏とした。比較対象として、アッターベルグ法とペッファーコルン法を採用した。
3 結果及び考察
アッターベルグ法及びペッファーコルン法を用いた結果、可塑性の値は、赤土、もぐさ土、白土の順で高かった。測定には、1試料あたりおおよそ1時間を要した。一方、RN式シリンダー法は、もぐさ土、白土の順で可塑性が高いことがわかり、従来法より3分の1程度の時間で結果が得られた。また、もぐさ土と白土はおもりの重さと含水率に関するグラフは概ね直線回帰した。赤土はおもりの重さを変えても含水率の変化がほとんどなく、測定が困難であった。これは、赤土に鉄イオン(レピドクロサイト(Lepidocrocite))が多いことが原因だと考えられた。さらにモンモリナイトは層間水を含むため、加熱乾燥水分計では全ての水を飛ばすことができず、含水率を正しく測ることができないと考えられた。一方、カオリナイトは他の土と比べ含水率の誤差が小さく、RN式シリンダー法は正確性が保たれていると判断した。
4 結論
もぐさ土と白土の可塑性は、従来法とRN式シリンダー法の値が同程度であったことから、RN式シリンダー法は、十分に可塑性が評価できると考えられた。また、おもりの重さに関わらず可塑性の順位が変わらないため、適用範囲は広いことがわかった。
今後、RN式シリンダー法を用いた校有林土の可塑性の評価が期待される。
5 参考文献
・井尻柚月,2024. 粗砂除去による嵯峨野高等学校校有林陶土の可塑性の向上. スーパーサイエンスラボ研究報告書集2024, 京都府立嵯峨野高等学校. 70‐71.
・田邉愛実,2024. 陶土の種類によるオカリナの音色比較.スーパーサイエンスラボ研究報告書集2024, 京都府立嵯峨野高等学校. 72‐73.
・小栗賢太・藤本久和・伴野巧・佐野三郎・芝崎靖雄・小田喜一,1999. カオリナイト質粘土のレオロジー特性と可塑性,粘土科学,38(1)-39(4).
