日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P98] 氷河の融解は深層海流を停止させるのか

*前田 泰志1、*永田 駿人1 (1.神奈川県逗子開成高等学校)

キーワード:海洋、環境

深層海流とは北大西洋で発生し赤道・インド洋・太平洋を経て数千年という年月をかけて海を一周する海流である。深層海流の主な要因は北大西洋付近の大気が海面を冷却することによって、塩分濃度の高い海水と真水の氷に分かれ、密度の高い海水が沈降するためと考えられている。また、深層海流は循環しているがゆえに低緯度地域から高緯度地域への熱輸送を担っている。

そんな深層海流であるが、昨今問題視されている地球温暖化によって循環速度の低下や停止が懸念されている。その理由として、深層海流は北大西洋での塩分の濃度差によって発生しているため、氷河の融解によって淡水が流れ込み海水の塩分濃度を薄め、海水が沈降しにくくなることが挙げられる。深層海流の停止は水中生物の移動を妨げ、栄養素や熱の移動を止めることになり、寒冷期が到来する可能性があると示唆されている。そのため、深層海流の停止について条件を変えながら再現実験をし、結果を出すことは、どれだけの氷河が解ければ循環が停止するのかということを表すおおよその指標となると考えている。なので、非常に意義のある研究であると感じている。また、私達の研究を機に地球温暖化への意識を高める人が増えると幸いである。

さて、今回の研究は温暖化による深層海流の停止を再現することがテーマである。そのため、実際の大西洋の環境をどれだけ再現できるかということにこだわった。水温や塩分濃度のみならず、大西洋での深層海流の流れ方をブロッカー氏のコンベヤーベルトを参考に暖流・寒流を模倣した。具体的には、水槽の左側をグリーンランド沖とみなし、右側をフランス沖としている。なお、水槽の右側をフランス沖と定めた理由はフランス沖とグリーンランド沖の間でアイスランドの周辺の海流を除き、海流が複雑に屈折しないため、模倣しやすいためである。ブロッカーのコンベヤーベルトに則り、グリーンランド側は密度が高く冷たい塩水を入れ、対して反対側の表層には比較的暖かい塩水を入れ、U字型の流れのできるように設定する。また、グリーンランドは大気によって冷やされることで沈降するのだが、実際に大気を用い水面を冷やすことは厳しいため、水槽内の塩水と同じ濃度の氷を用意し、グリーンランド側の水面に設置しようと考えている。流れの可視化の際に使うものだが、水溶性の高いインクではなく、比較的水溶性の低いビタミンB2を使用する。これは私たちの先輩たちがテーマは違うものの深層海流についての実験を行っていた際にビタミンB2を使っていたのを参考にしたためである。そして、このビタミンB2をこの水槽において深層海流の起点となる。

右側に設置し観察を行う。深層海流の停止の仕方だが、深層海流は塩分濃度や水温の差によって発生するものであるため、水槽内で流れが出来たときに塩水が沈降しているグリーンランド側の水面に淡水の氷を浮かべて停止させようと考えている。

実験の諸条件について説明する。まず、深層海流の停止について何を持って判断するかについてだが、これは流速を基準に判断することにした。具体的に説明すると深層海流を淡水の氷を使って意図的に停止させる場合と停止をさせない場合とで比較し、流速が停止させない場合の〇〇分の1になった場合に停止したと判断することにする。基準については前提実験をしていく中で定めていこうと思う。

また、深層海流の停止実験を行う際に使用する間接照明が水面に与える熱量の算出や間接照明による塩水の温度変化については深層海流の停止の実験を行う前にその効果について検証する。