日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] 惑星科学

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:冨永 遼佑(東京科学大学 理学院地球惑星科学系)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、小林 真輝人(東京大学)、辰馬 未沙子(理化学研究所)、座長:吉田 辰哉(東北大学)、田畑 陽久(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)

10:00 〜 10:15

[PPS06-10] 次世代小天体サンプルリターンミッション:ミッション検討状況報告

*嶌生 有理1黒川 宏之2坂谷 尚哉1深井 稜汰1岡田 達明1、千秋 博紀3、末次 竜4、青木 順5癸生川 陽子6熊本 篤志7田中 智1川村 太一8浦川 聖太郎9巽 瑛理1、高尾 勇輝10菊地 翔太11森 治1、佐伯 孝尚1、津田 雄一1 (1.宇宙航空研究開発機構、2.東京大学、3.千葉工業大学、4.大島商船高等専門学校、5.大阪大学、6.東京科学大学、7.東北大学、8.パリ大学、9.日本スペースガード協会、10.九州大学、11.国立天文台)

キーワード:太陽系探査、小天体、彗星、サンプルリターン

サンプルリターンミッションは、産地・産状が明確な地球外物質試料を、地球物質によって汚染することなく入手する有力な手段である。これは、従来の隕石研究とは大きく異なる利点である。帰還試料は、世界中の研究者と最先端の分析装置によって高い空間分解能・質量分解能で分析される。この結果を探査機の対象天体近傍運用におけるリモセンデータと統合することで、対象天体の形成史や太陽系天体の形成・進化過程の解明に大きく貢献する。はやぶさ2はNature, Scienceだけで14編、その姉妹紙には50編以上の論文が掲載されるなど多く成果を収め、OSIRIS-RExも帰還試料分析の成果が報告され始めている[e.g., 1,2]。引き続くサンプルリターンミッションとして、MMXが2026年10月打上げ、2031年7月に地球帰還の予定である[3]。
我々は、2030年代に実現を目指す次期戦略的中型計画として、次世代小天体サンプルリターン(NGSR)ミッションの検討を理学・工学ワーキンググループで連携して実施してきた。2024年7月末、ミッションコンセプト提案書を宇宙航空研究開発機構(JAXA)に提案したが、本年度の中型絞り込みは延期された。今後の再絞り込みに向けて、システム検討とミッション機器検討のフロントローディング活動を実施している。
本ミッションの科学目的は、I)銀河物質進化を辿る太陽系“物質”の起源の解明、およびII)微惑星形成過程に迫る太陽系“天体”の起源の解明である。探査目標天体のノミナル候補として、木星族彗星289P/Blanpainを選定した。ノミナルミッション期間は、2034年打上、2040年天体到着、2046年地球帰還である。探査機システムは、地球から彗星への往還輸送を担う深宇宙軌道間輸送機(DS-OTV)と、彗星近傍でのタッチダウン(TD)サンプリングを担う着陸機から構成される。これにより、TD運用に伴う探査機全損のリスク回避と、挑戦的な地形へのサンプリングを両立させる。複数地点からのサンプリングと小型衝突装置(SCI)等を用いた地下物質へのアクセスによって、彗星の表面物質だけでなく、宇宙風化等の影響のない地下物質を採取する。着陸機が採取した試料はTD毎にDS-OTVに引き渡され、サンプルリターンカプセルによって地球に帰還させる。彗星の揮発性物質と有機物は、探査機に搭載された高分解能質量分析計(HRMS)によってその場分析を行う。サンプルリターンに加えて、彗星の形成過程を明らかにするため、DS-OTVと着陸機によるバイスタティックレーダ観測と地震計による内部構造探査を検討している。

References: [1] Nakamura, T. et al. (2023) Science 379, eabn8671. DOI:10.1126/science.abn8671. [2] Lauretta, D. S., et al. (2024).MAPS, 59(9), 2453-2486. [3] https://www.mmx.jaxa.jp/mission/