日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM16] 地磁気・古地磁気・岩石磁気・環境磁気

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:川村 紀子(海上保安大学校 基礎教育講座)、加藤 千恵(九州大学比較社会文化研究院)

17:15 〜 19:15

[SEM16-P17] 異なる加熱雰囲気がもたらす考古地磁気強度の差異とその信頼性について

*吉村 由多加1安 ヒョンソン2,3加藤 千恵4,7山本 裕二5穴井 千里6、田尻 義了4,7畠山 唯達8大野 正夫4,7 (1.国立極地研究所、2.韓国地質資源研究院、3.科学技術連合大学院大学、4.九州大学大学院 比較社会文化研究院、5.高知大学 海洋コア国際研究所、6.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学施設火山研究センター、7.九州大学 アジア埋蔵文化財研究センター、8.岡山理科大学 フロンティア理工学研究所)

キーワード:考古地磁気強度、加熱雰囲気、綱川・ショー法、弥生土器

日本における過去数千年の地磁気強度の永年変化の標準曲線は、方位の標準曲線とともに地球外核のダイナミクスを探る基礎的データとして重要である。また、地磁気強度が大きく変化する時代であれば、年代不明の考古遺物の焼成年代を推定する手がかりとなる。日本の考古地磁気強度の標準曲線の構築のためには信頼性の高い考古地磁気強度を得る必要がある。本研究では、加熱雰囲気の異なる状況で、福岡県春日市の御供田遺跡から発掘された弥生土器に対して綱川・ショー法による古地磁気強度の測定実験を行った。45個の土器サンプルから一つずつ真空中と空気中で熱磁気分析を行ったところ、真空中よりも空気中の方が加熱と冷却の誘導磁化曲線が可逆的であった。また、真空中加熱と空気中加熱によって綱川・ショー法を実行した結果、26個中19個の土器サンプルに所属する89個中60個のスペシメンが真空中加熱で、8個中7個の土器サンプルにおける23個中17個のスペシメンが空気中加熱でそれぞれ綱川・ショー法の合格基準に合格した。合格率は真空中加熱(67%)よりも空気中加熱(73%)の方がわずかに高い。同じ土器片サンプルの姉妹スペシメンから得られた考古地磁気強度は、真空中加熱と空気中加熱とで差がある。特に、土器編年で同じ時代に作成されたと判明しているサンプル45とサンプル46の考古地磁気強度のサンプル平均は、真空中加熱の場合は標準偏差の範囲で一致しないが、空気中加熱の場合は一致する。加熱前後の非履歴残留磁化(ARM)の変化を示すARM0-ARM1プロットは、真空中加熱ではほとんど全てが曲線になっていて、最も変化の大きいものは放物線のような形状になっていた。空気中加熱では曲がってはいるが変化がわずかのもの、曲がっていないが変化が比較的大きなものに分類される。これらのARM0-ARM1プロットの曲率は、真空中加熱では0–1.40(ヒストグラムのピークは0.5–0.6および1.2–1.3)、空気中加熱では0–0.53(ヒストグラムのピークは0–0.1)であった。ヒストグラムのピークを比較すると空気中加熱の方がARM0-ARM1プロットの曲率が真空中加熱よりも小さい。これらの結果は、今回の弥生土器試料に対する空気中加熱を用いた綱川・ショー法が真空中加熱を用いた綱川・ショー法よりも信頼性の高い手法だということを示している。真空中加熱の綱川・ショー法で合格率が高いことは問題だが、ARM0-ARM1プロットの曲率をTsunakawa-Shaw法の新しい合格基準に用いることで信頼性の低い結果を排除できるかもしれない。