[AAS11-P20] 東京スカイツリーで測定された都市上空の雲凝結核の特性
キーワード:雲凝結核数濃度、凝結核数濃度、有効半径、霧粒数濃度
大気エアロゾルが気候に与える影響は直接効果と間接効果(雲調整効果)がある。直接効果とはエアロゾルが太陽光を直接散乱・吸収する効果、間接効果とは雲を形成したときに雲凝結核(CCN)として働き、雲の光学特性や寿命を変化させる効果である。放射強制力に与える雲調整効果に関しては科学的理解度が低く、大きな不確かさを持っている(IPCC, 2013)。したがって、多くの地域でエアロゾルのCCN特性を測定することが必要となっている。世界的に定点観測の少ない都市上空のCCN特性を調査するため、本研究では、東京スカイツリーにおいてCCNを観測した。
観測は、2016年6月3日~6月30日、東京スカイツリー458 m(35.71°N , 139.81°E)地点において行った。雲凝結核計( CCNC )、走査型移動度粒径分布測定器 ( SMPS )を用いてCCN数濃度 (NCCN) とCN数濃度 (NCN) を同時に測定した。得られた結果から、CCN活性比を求めることができる。本研究では拡散ドライヤーを通して大気試料の相対湿度を30%以下にして4段階の過飽和度(SS%)のNCCN、NCNとその粒径分布を測定し、κ-ケーラー理論(Petters and Kreidenweis, 2007)を用いて吸湿性パラメータ(κ)を算出した。またFog Monitorで測定した霧粒数濃度(NFog)、霧粒の有効半径(Reff)とあわせて解析を行った。東京スカイツリーで得られた結果を同様の観測が行われた富士山頂の観測データ(渡辺, 2015)と比較した。
東京スカイツリーでは富士山頂と比べると全体的にNCCNは大きく、κは小さいことが確認できた。また気塊の輸送起源によるCCN特性のはっきりとした傾向は見られなかった。
霧雨を含まない雲で覆われている期間のデータを用い、CCN特性について調べた結果、NFogとNCCNとの間に正の相関はなかった。 また、Twomey効果(Twomey,1959)として知られる微物理的関係のように、ReffとNCCNとの間に負の相関はなかった。これは、東京スカイツリーではNCCNの変動が小さかったためと考えられる。過飽和度0.12%におけるReffとNCCNの関係を富士山頂の結果 と比較したところ、富士山頂で得られたReffとNCCNとの間の負の相関の一部とみなすことができた。
観測は、2016年6月3日~6月30日、東京スカイツリー458 m(35.71°N , 139.81°E)地点において行った。雲凝結核計( CCNC )、走査型移動度粒径分布測定器 ( SMPS )を用いてCCN数濃度 (NCCN) とCN数濃度 (NCN) を同時に測定した。得られた結果から、CCN活性比を求めることができる。本研究では拡散ドライヤーを通して大気試料の相対湿度を30%以下にして4段階の過飽和度(SS%)のNCCN、NCNとその粒径分布を測定し、κ-ケーラー理論(Petters and Kreidenweis, 2007)を用いて吸湿性パラメータ(κ)を算出した。またFog Monitorで測定した霧粒数濃度(NFog)、霧粒の有効半径(Reff)とあわせて解析を行った。東京スカイツリーで得られた結果を同様の観測が行われた富士山頂の観測データ(渡辺, 2015)と比較した。
東京スカイツリーでは富士山頂と比べると全体的にNCCNは大きく、κは小さいことが確認できた。また気塊の輸送起源によるCCN特性のはっきりとした傾向は見られなかった。
霧雨を含まない雲で覆われている期間のデータを用い、CCN特性について調べた結果、NFogとNCCNとの間に正の相関はなかった。 また、Twomey効果(Twomey,1959)として知られる微物理的関係のように、ReffとNCCNとの間に負の相関はなかった。これは、東京スカイツリーではNCCNの変動が小さかったためと考えられる。過飽和度0.12%におけるReffとNCCNの関係を富士山頂の結果 と比較したところ、富士山頂で得られたReffとNCCNとの間の負の相関の一部とみなすことができた。