09:15 〜 09:30
[ACG52-02] 親潮域春季ブルームに与える沿岸親潮水のインパクト
キーワード:親潮域、春季ブルーム、沿岸親潮水
冬春季にオホーツク海から北西太平洋に流出する沿岸親潮水は、一般に、水温2℃以下、塩分33以下で定義され、親潮水よりも低温低塩であり、植物プランクトンの増殖に不可欠な栄養塩と溶存鉄を豊富に含む。ただし、北海道~三陸沖の北西太平洋において、沿岸親潮水の分布は沿岸~大陸棚域に限定されると考えられているため、それよりも沖合の親潮~混合域における春季ブルームへの寄与はほとんど調べられていない。本研究では、既往の研究結果を統合して、沿岸親潮水が親潮域の春季ブルームに重要に寄与する仮説「沿岸親潮水ブルーム制御仮説」を提唱する。本仮説を検証するために、1990年以降5月における厚岸沖Aラインモニタリングデータを解析し、親潮~混合域における春季ブルームと水塊特性(水温塩分特性)との対応を把握し、親潮域の春季ブルームに対応する水塊が沿岸親潮水あるいはその変質水であることを示す。さらに、北西太平洋全域における歴史的水温塩分データを用いて、春季ブルームと潜在的に対応する水塊の時空間分布を示し、親潮全域の春季ブルームに沿岸親潮水が寄与する可能性を議論したい。