JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW32] [EE] Biodiversity, nutrients and other materials in ecosystems from headwaters to coasts

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:奥田 昇(総合地球環境学研究所)、小野寺 真一(広島大学大学院総合科学研究科)、池谷 透(総合地球環境学研究所)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)

[AHW32-P05] Size distribution of soil particles containing phosphorus in forest and agricultural soils in a watershed draining to Lake Biwa

*長根 美和子1尾坂 兼一2阿江 教治3大園 享司4保原 達3 (1.北海道大学、2.滋賀県立大学、3.酪農学園大学、4.同志社大学)

キーワード:Lake Biwa, particle size, phosphorus, agricultural soil, forest soil

湖沼における富栄養化は、生活用水の確保や生物多様性の保全といった観点から見ても社会的に関心の高い環境問題の一つである。リンは生物にとって主要な栄養塩の一つであり、人間活動によって水域において多量に確認されることもある。農地には、生産性向上のために、多量のリンが施肥されている。リンは農地においてリン酸として存在し、土壌鉱物と吸着しやすい。そのため、農地の土壌粒子はリンを多量に保持している。これらの土壌は、雨水や土壌侵食などによって農地から水域へと移動する。

河川へのリンの流出量は、森林よりも農地の方が多いとされており、形態は溶存態リンよりも懸濁態リンの方が多い。農地が森林と比べ、リンの流出量が多い理由には、土壌粒子が関係しているのではないかと考えた。
本研究では、琵琶湖流入河川流域から採取した農地・水田・森林土壌を、サイズ分画し、それぞれのサイズ毎にリン濃度を測定した。サイズ区分は、300 µmから2 mm(F1)、75 µmから300 µm(F2)、10 µmから75 µm(F3)、 10 µm以下(F4)とした。これらの方法で得られた画分はそれぞれ、全リン・有機態リン・無機態リン濃度を測定した。
農地土壌は森林土壌よりもリンを水域へ多量に流出させる可能性があるということが示された。農地土壌は森林土壌と比べると、水によって流されやすい、粒径の土壌粒子の割合が高い。小さい画分における、農地土壌の全リン濃度は小さい画分において必ずしも高くはならなかった。

その結果として、農地土壌は小さい画分の土壌粒子を多く含むため、森林土壌よりもリンを供給する能力が高いというがわかった。 これらのことから、農地は懸濁態リンの供給する能力が森林土壌に比べて高いため、水域へのリン負荷が大きいということが示唆された。