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[AOS24-05] 研究船「みらい」搭載機器による海洋上の雨滴粒径分布の現場観測
キーワード:雨滴粒径分布、海洋性降雨、研究船「みらい」
雨滴粒径分布 (DSD)、すなわちサイズ別の雨滴数のデータは、レーダーを用いた淡水フラックス(雨量)測定や雨滴衝突による海洋表層混合を考える上で重要である。しかし過去の観測の殆どは陸上で行われたものである。大陸性と海洋性で異なる降水メカニズムが指摘されている中、海洋上での観測データの欠落は問題である。そこで筆者らは、光学式雨滴粒径分布計を研究船「みらい」に設置し、その熱帯から北極に渡る広い行動範囲においてデータの取得を続けている。今回は熱帯での雨滴粒径分布に絞り、R-Dm関係(R:降水強度、Dm:平均粒径)に落とし込んだ解析を行った。結果、Kozu et al. (2009)で提案された全球平均としてのR-Dm関係と比較し、幾つかのケースで大粒径粒子が多いという結果が得られた。この傾向は、以下の場合により顕著であった:(1) 陸上よりも海上、(2) 特に海洋大陸域スマトラ島沿岸での "Pre-YMC" 観測期間のデータにおいて、(3) 層状性降水域において、及び、(4) Parsivel よりもLPMで測定したデータにおいて、である。最後に指摘した機材による差異については、他の機材と比較してその是非を検討した。