JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] [JJ] 活動的火山

2017年5月22日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SVC47-P37] 流体で満たされたクラックの共鳴周波数の一般化解析式

*前田 裕太1熊谷 博之1 (1.名古屋大学)

キーワード:LPイベント、共鳴振動、クラック

火山で発生するLPイベントのモデルとして流体で満たされた矩形クラックの共鳴振動(クラックモデル; Chouet, 1986, JGR)が広く用いられてきたが、その解析解は知られていない。我々は過去の研究においてクラックモデルの周波数が以下の式でよく近似できることを経験的に見出した(Maeda and Kumagai, 2013, GRL)。
fm = (m - 1)a/{2Lx[1 + 2εmCx]1/2} (1)
ここでaは流体の音速、Lxは波の伝播方向のクラック長、mは波長2Lx/mによって決まるモード次数、Cxはクラック形状と流体・弾性体の物性によって決まるcrack stiffnessと呼ばれる無次元数、εmはクラックのアスペクト比χとモード次数mに依存する経験定数である。(1)式を用いれば共鳴周波数を簡便に計算できると期待されるが、そのためにはクラックのアスペクト比とモード次数ごとにεmの値を数値的に推定しなければならず、この困難ゆえに(1)式がLPイベントの解釈に広く用いられるには至っていない。

本研究では(1)式の理論的背景を検討した。クラックの壁の変位と流体圧力との比がクラック端近傍で端からの距離の平方根に比例すると仮定することにより、共鳴周波数が
fm = (m - 1)a/(2LxIm) (2)
Im = (1 - 4γ/5m)Jm(gm0Cx) + (16γ/15m)[1/Km(gm0Cx) + 1/Km(gm0Cx)2] (3)
と書けること、(1)式はその良い近似(ずれ≦2%)になっていることが理論的に示された。ここでJm(ξ) = (1 + 2ξ)1/2, Km(ξ) = Jm(ξ) + 1, γ = 0.22であり、χ > 4γ/mのとき
gm0 = (1 - 4γ/3mχ)/(3m - 4γ) (4)
χ < 4γ/mのとき
gm0 = (2/3)(mχ/4γ)1/2/(3m - 4γ) (5)
である。(4)(5)式の定数gm0と(1)式のεmの間にはεm = gm0(3m - 4γ)/(3m)の関係が成り立つ。

(2)-(5)式はクラックモデルのパラメータとモード次数のみを用いた閉じた関係式になっており、経験的に求めなければならない定数を含んでいない。したがってこの式を用いれば任意の矩形クラックについて共鳴周波数を解析的に求めることができる。様々なパラメータでクラックモデルの数値計算を行い(2)-(5)式の値と比較したところ周波数の差は5%以内であった。これらの式を用いればクラックモデルの共鳴周波数を極めて容易に計算できるため、LPイベントの観測周波数との比較を通してソースプロセスの定量的理解の進展につながると期待される。