10:45 〜 11:00
[HTT25-07] だんじり祭りに着目した祭礼空間の把握
キーワード:祭礼空間、歴史的変遷、空間情報技術
祭礼はその土地の歴史や風習を形にしたものであり,それぞれ固有の特徴をもっている.多くの祭礼が神社仏閣の境内で行われているが,境内に加えて境外でも行われる祭礼が存在する.都市デザインの観点から祭礼を捉えるにあたり,境外での祭礼に着目することは,祭礼空間の広がりを把握する上で重要である.境外で行われる祭礼のなかでもとくに魅力的なのが,祭礼の際に曳いたり担いだりする出し物である山車を用いた祭礼である.山車を曳く祭礼は多くの種類があり,だんじりを曳く大阪府の岸和田だんじり祭りや山鉾を曳く京都府の祇園祭,山笠を曳く福岡県の博多祇園山笠などが挙げられる.なかでも,だんじり祭りは近畿地方,とくに大阪府の多くの地域で行われている.そのため,各地域によってだんじりの形態や曳行の違いがあり,地域固有の特徴を把握することができる.
さらに,祭礼を都市デザインの観点から捉えると,祭礼が行われる空間や眺められる空間といった空間が多く存在していると言える.しかし,日常では目に見えて認識されることはないため,行政における景観計画などになかなか反映されていないという現状がある.歴史ある祭礼を現代で途切れさせないためにも,祭礼に関する要素に意味付けをすることで消失を防ぐことが求められる.そのためには,祭礼と都市の歴史的変遷を合わせてに捉えることが重要である.本研究では,都市の歴史的変遷により空間が変容するなかで,歴史ある祭礼を継続していくために,祭礼に関する要素に新たな意味付けをし,継続する価値を見出すことを目的としている.
本研究では地域固有の文化的な要素の中でも「祭礼」を取り上げている.とくに祭礼が行われる空間,祭礼に関するさまざまな要素が眺められる空間を「祭礼空間」として捉え,これを分析・把握することにする.研究に取り組むにあたって重要な点は,地域固有のまちづくりや祭礼行事などを,現代に残された史料や祭りから捉え,GISに代表される空間情報技術を用いて示していくことである.GISを用いることにより,地図上に神社の位置や氏子地域,曳行ルートなどを定位し,祭礼が都市にどのように広がっているかといったことを空間的に把握することが可能である.
日本全国では数多くの祭礼が行われている.なかでも大阪は,日本全国の都道府県において東の東京と並ぶ,言わずとしれた西最大の都であり,独特の文化や伝統を数多く伝えている.大阪府を代表する祭礼として天神祭,住吉祭,愛染祭からなる大阪三大夏祭りが挙げられる.大阪府の祭礼は摂津を中心に多く行われているが,河内・和泉といった地域においても盛んに行われている.とくに河内・和泉ではだんじり祭りが盛んに行われている.また,境外を巡行する形態の祭礼であることから,都市デザインの観点で祭礼を捉えるにあたり相応しいと考え,だんじり祭りを研究対象としている.だんじり祭りと言えば和泉での祭りが有名であるが,和泉だけでなく河内においても盛んに行われている.そこで本研究では,河内に位置する富田林市で行われるだんじり祭りに着目している.
本研究の対象地である大阪府富田林市は現在に至るまでに,合併や編入を繰り返してきた過去がある.明治時代における現在の富田林市の範囲は25村から成り立っていた.その後,町村制,市制がそれぞれ施行され,現在の富田林市へと変化している.
富田林市のだんじり祭りは,全11社中6社で行われている.各氏子町によって異なる曳行ルートはそれぞれの地域性を見出す重要な要素である.そこで,だんじり祭り関係者へのヒアリングを行い,各氏子町の曳行ルートを入手し,それらをGIS上に定位している.定位することでルートどうしやルートと旧版地形図の重なりを把握し,祭礼空間として意義をもつ空間を見出している.また,祭礼が行われる空間だけでなく,祭礼が眺められる空間も祭礼を視覚的に捉えるにあたって重要な空間であると考えている.したがって,祭礼が眺められる空間を把握するために,GISの分析ツールである可視・不可視分析を行っている.さらに,祭礼自体だけでなく祭礼関連の掲示物にも着目している.掲示物とはのぼりや提灯,垂れ幕といったものを指しており,これらは祭礼当日だけでなく数週間前から掲示されていることから,祭礼当日以外にも祭礼空間を生み出す要素として捉えることができる.
本研究では,空間情報技術を活用し,近世から現代にかけての富田林市の歴史的変遷を把握している.また,曳行ルートなどを用いることで,だんじり祭りによる祭礼空間の広がりをGIS上に示している.今後の展開では,祭礼空間を構成する要素は他にも考えられるので,他の要素を加えて祭礼空間の広がりを把握する必要がある.
さらに,祭礼を都市デザインの観点から捉えると,祭礼が行われる空間や眺められる空間といった空間が多く存在していると言える.しかし,日常では目に見えて認識されることはないため,行政における景観計画などになかなか反映されていないという現状がある.歴史ある祭礼を現代で途切れさせないためにも,祭礼に関する要素に意味付けをすることで消失を防ぐことが求められる.そのためには,祭礼と都市の歴史的変遷を合わせてに捉えることが重要である.本研究では,都市の歴史的変遷により空間が変容するなかで,歴史ある祭礼を継続していくために,祭礼に関する要素に新たな意味付けをし,継続する価値を見出すことを目的としている.
本研究では地域固有の文化的な要素の中でも「祭礼」を取り上げている.とくに祭礼が行われる空間,祭礼に関するさまざまな要素が眺められる空間を「祭礼空間」として捉え,これを分析・把握することにする.研究に取り組むにあたって重要な点は,地域固有のまちづくりや祭礼行事などを,現代に残された史料や祭りから捉え,GISに代表される空間情報技術を用いて示していくことである.GISを用いることにより,地図上に神社の位置や氏子地域,曳行ルートなどを定位し,祭礼が都市にどのように広がっているかといったことを空間的に把握することが可能である.
日本全国では数多くの祭礼が行われている.なかでも大阪は,日本全国の都道府県において東の東京と並ぶ,言わずとしれた西最大の都であり,独特の文化や伝統を数多く伝えている.大阪府を代表する祭礼として天神祭,住吉祭,愛染祭からなる大阪三大夏祭りが挙げられる.大阪府の祭礼は摂津を中心に多く行われているが,河内・和泉といった地域においても盛んに行われている.とくに河内・和泉ではだんじり祭りが盛んに行われている.また,境外を巡行する形態の祭礼であることから,都市デザインの観点で祭礼を捉えるにあたり相応しいと考え,だんじり祭りを研究対象としている.だんじり祭りと言えば和泉での祭りが有名であるが,和泉だけでなく河内においても盛んに行われている.そこで本研究では,河内に位置する富田林市で行われるだんじり祭りに着目している.
本研究の対象地である大阪府富田林市は現在に至るまでに,合併や編入を繰り返してきた過去がある.明治時代における現在の富田林市の範囲は25村から成り立っていた.その後,町村制,市制がそれぞれ施行され,現在の富田林市へと変化している.
富田林市のだんじり祭りは,全11社中6社で行われている.各氏子町によって異なる曳行ルートはそれぞれの地域性を見出す重要な要素である.そこで,だんじり祭り関係者へのヒアリングを行い,各氏子町の曳行ルートを入手し,それらをGIS上に定位している.定位することでルートどうしやルートと旧版地形図の重なりを把握し,祭礼空間として意義をもつ空間を見出している.また,祭礼が行われる空間だけでなく,祭礼が眺められる空間も祭礼を視覚的に捉えるにあたって重要な空間であると考えている.したがって,祭礼が眺められる空間を把握するために,GISの分析ツールである可視・不可視分析を行っている.さらに,祭礼自体だけでなく祭礼関連の掲示物にも着目している.掲示物とはのぼりや提灯,垂れ幕といったものを指しており,これらは祭礼当日だけでなく数週間前から掲示されていることから,祭礼当日以外にも祭礼空間を生み出す要素として捉えることができる.
本研究では,空間情報技術を活用し,近世から現代にかけての富田林市の歴史的変遷を把握している.また,曳行ルートなどを用いることで,だんじり祭りによる祭礼空間の広がりをGIS上に示している.今後の展開では,祭礼空間を構成する要素は他にも考えられるので,他の要素を加えて祭礼空間の広がりを把握する必要がある.