14:00 〜 14:15
[MGI31-02] SNSによる情報発信はどれだけ社会に伝わるか −公共交通オープンデータを例に−
キーワード:SNSのインパクト、オープンデータ
研究者,特に工学に関わる研究者は,単に真理を追究する意味で研究を進めるだけでなく,自らのアイディアを何らかの形で世に出し形にしたいと願うことが珍しくない.ブログ,SNSなどによる個人による情報発信が圧倒的に容易になった現代においては,論文を書くことで専門家コミュニティに向けてその成果を発信するだけでなく,広く一般向けの情報発信によってその技術やアイディアを認知させ,社会における実現を模索するアプローチも可能になる.ここでは,著者らが目指している公共交通オープンデータの実現を事例に,SNSなどでの情報発信の有効性について論じる.
公共交通オープンデータとは,電車やバスの時刻表や路線図を,商用利用も含め誰もが自由に利用出来るオープンデータとして公開するアプローチである.欧米においては公共交通事業者が自らが運行する鉄道やバスなどのデータを一般公開するアプローチが当たり前になりつつあり,これを利用したアプリケーション開発も活発になっているが,日本では有償での流通の仕組みがあることなどからほとんど行われていない.しかしながら,利用者数が少ない小規模な地方の公共交通では,そのデータが商用ベースに乗りにくく検索サービスになかなか採用されないという問題がある.
著者らは,これらの課題を解決するために公共交通データをオープンデータとして公開する試みを行うとともに,その資料などを積極的にWebに発信してきた.以下に利用しているSNSなどの例を挙げる.
Slideshare: 学会発表や講演などで用いたスライドをSlideshareというWebに登録し,発表を聞いていない人でも閲覧が可能になる.類似するスライドをリンクする機能があるので,別のスライドの閲覧者への発信も期待出来る.
Twitter: 日々の考えなどを「つぶやく」メディアであり,匿名で趣味などをつぶやくアカウントも多く,実世界の人間関係にかかわらず「フォロー」出来るため,特定の関心事項や共通の話題で結びつきやすい.
Facebook: 実世界の人間関係をベースにしたSNSであり,日本では仕事における人間関係でFacebookでもつながる例が多い.直接の知り合いへの発信が主となるが,Facebookにおいても,「友達の友達」という形で情報拡散が起こり,発信した情報が更に拡がることもある.
Blog: 整理した長文の「記事」を書くのに相応しいメディアであり,写真や図などを交えた文章の掲載にも適している.SNSへの投稿が時間の経過とともに流れてしまうのに対し,Blogへ投稿した記事はWeb検索の対象となり,長期的な情報の発信に適していると考えられる.ソフトウェア開発者向けの情報提供に特化したBlogであるQiitaや,記事を寄り簡単に書けるよう工夫されたMediumなども利用している.
これらへの情報発信は2015年頃から活発に行っており,検索して見つけたという企業や自治体,官庁などからの問い合わせを時折受けるようになった.2016年2月には,こうして知り合った人同士が登壇するシンポジウムを開催した.2016年末からは,これらの中から,自らもオープンデータを公開するという自治体などが出てくるとともに,それらの取り組みをさらにblogなどで紹介するという循環が出来はじめている.
多くの人が潜在的に抱えている社会課題に関わる情報発信を研究者が行うことは,それに関わる人と知り合い,人同士をネットワーク化し,更にその活動を加速する可能性がある.今後も,こうした活動を続けるとともに,SNSなどへの情報発信の効果を更に検証してゆきたいと考えている.
公共交通オープンデータとは,電車やバスの時刻表や路線図を,商用利用も含め誰もが自由に利用出来るオープンデータとして公開するアプローチである.欧米においては公共交通事業者が自らが運行する鉄道やバスなどのデータを一般公開するアプローチが当たり前になりつつあり,これを利用したアプリケーション開発も活発になっているが,日本では有償での流通の仕組みがあることなどからほとんど行われていない.しかしながら,利用者数が少ない小規模な地方の公共交通では,そのデータが商用ベースに乗りにくく検索サービスになかなか採用されないという問題がある.
著者らは,これらの課題を解決するために公共交通データをオープンデータとして公開する試みを行うとともに,その資料などを積極的にWebに発信してきた.以下に利用しているSNSなどの例を挙げる.
Slideshare: 学会発表や講演などで用いたスライドをSlideshareというWebに登録し,発表を聞いていない人でも閲覧が可能になる.類似するスライドをリンクする機能があるので,別のスライドの閲覧者への発信も期待出来る.
Twitter: 日々の考えなどを「つぶやく」メディアであり,匿名で趣味などをつぶやくアカウントも多く,実世界の人間関係にかかわらず「フォロー」出来るため,特定の関心事項や共通の話題で結びつきやすい.
Facebook: 実世界の人間関係をベースにしたSNSであり,日本では仕事における人間関係でFacebookでもつながる例が多い.直接の知り合いへの発信が主となるが,Facebookにおいても,「友達の友達」という形で情報拡散が起こり,発信した情報が更に拡がることもある.
Blog: 整理した長文の「記事」を書くのに相応しいメディアであり,写真や図などを交えた文章の掲載にも適している.SNSへの投稿が時間の経過とともに流れてしまうのに対し,Blogへ投稿した記事はWeb検索の対象となり,長期的な情報の発信に適していると考えられる.ソフトウェア開発者向けの情報提供に特化したBlogであるQiitaや,記事を寄り簡単に書けるよう工夫されたMediumなども利用している.
これらへの情報発信は2015年頃から活発に行っており,検索して見つけたという企業や自治体,官庁などからの問い合わせを時折受けるようになった.2016年2月には,こうして知り合った人同士が登壇するシンポジウムを開催した.2016年末からは,これらの中から,自らもオープンデータを公開するという自治体などが出てくるとともに,それらの取り組みをさらにblogなどで紹介するという循環が出来はじめている.
多くの人が潜在的に抱えている社会課題に関わる情報発信を研究者が行うことは,それに関わる人と知り合い,人同士をネットワーク化し,更にその活動を加速する可能性がある.今後も,こうした活動を続けるとともに,SNSなどへの情報発信の効果を更に検証してゆきたいと考えている.