JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 国際会議室 (国際会議場 2F)

コンビーナ:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、北場 育子(立命館大学古気候学研究センター)、佐野 雅規(総合地球環境学研究所)、座長:池原 実(高知大学海洋コア総合研究センター)

11:30 〜 11:45

[MIS23-28] タイ中央部の石炭系硫酸塩岩体の形成史

*黒田 潤一郎1,2原 英俊3上野 勝美4Charoentitirat Thasinee5丸岡 照幸6宮崎 隆2宮東 照4Lugli Stefano7 (1.東京大学 大気海洋研究所、2.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、3.国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、4.福岡大学 理学部 地球圏科学科、5.Department of Geology, Faculty of Science, Chulalongkorn University、6.筑波大学 生命環境科学研究科、7.Dipartimento di Scienze Ghimiche e Geologiche, Universitá degli Studi di Modena e Reggio Emilia)

キーワード:石炭紀、硫酸塩蒸発岩、ストロンチウム同位体、硫黄同位体

タイ中央部のナコンサワン北東に分布する硫酸塩鉱物岩体の岩石学的・地球化学的研究を行い,その年代や成因を検討した.この硫酸塩岩体は層状硬石膏と,その上位の変形した石膏からなり,安山岩質ダイクに貫入される.ジルコンU-Pb年代は中期三畳紀の貫入年代を示し,三畳紀のスコタイ弧の広域的マグマ活動に関連したものと思われる.硫酸塩鉱物の硫黄同位体比とストロンチウム同位体比を顕生代の海水の同位体進化曲線と比較した結果,石炭紀ミシシッピアンのサープコビアンの海水の値に一致した(Kuroda et al., 2017).この年代は,周辺の石灰岩に産する石灰質化石の年代とも整合的である(Ueno and Charoentitirat, 2011).この硫酸塩岩体の履歴は以下のようになる.まず,石炭紀サープコビアンに浅海域で高塩海水から初生的石膏が晶出し, その後, 埋没続成で硬石膏に再結晶した(層状硬石膏).この硬石膏は中期三畳紀に安山岩質ダイクの貫入を受け, 最近になって再び地表近くにもたらされ,上部が水和して石膏が再晶出した.石膏の変形構造は,水和の際の膨張によるものと考えられる.タイ北東部に分布する硫酸塩岩体(Surakotra et al., 2017)との比較を行い,その発達史について考察する.
Kuroda, J., Hara, H., Ueno, K. et al. (2017) Characterization of sulfate mineral deposits in central Thailand. Island Arc, in press. doi: 10.1111/iar.12175.
Surakotra, N., Pisutha-Arnond, V., and Warren, J.K. (2005) Some Characteristics of Gypsum-Anhydrite Deposit in the Loei-Wang Saphung, Northeastern Thailand. In L. Wannakao, W. Youngme, K. Srisuk, and R. Lertsirivorakul (Eds.), Proceedings of the International Conference on Geology, Geotechnology and Mineral Resources of INDOCHINA (GEOINDO 2005), pp. 421–430.
Ueno, K., and Charoentitirat, T. (2011) Carboniferous and Permian. In M.F. Ridd, A.J. Barber, and M.J. Crow (Eds.), The Geology of Thailand, pp. 71–136, Geol. Soc. London.