JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] [JJ] キッチン地球科学 -手を動かすことの利点-

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールA (国際会議場 2F)

コンビーナ:久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、栗田 敬(東京大学地震研究所)、熊谷 一郎(明星大学理工学部)、座長:久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)

14:00 〜 14:15

[O04-02] 実習・実演のための寒天ゲルを用いた室内地震探査実験

*桑野 修1仲西 理子1山下 幹也1柳澤 孝寿1 (1.国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

キーワード:アナログ実験、ハイドロゲル、地震探査、画像解析

地球物理学の中でも大気海洋物理や火山分野に比べて、地震学で扱う現象は視認しにくく、断層破壊や波動伝播に関する動的な実験教材は非常に少ない。地震の源たる断層も、中学高校の教科書では静的なイメージで語られがちである。そこで我々は寒天を利用して地震波伝播を実際に見て触って実感できる室内地震探査実習装置を開発した(桑野, 2015, 東レ理科教育賞受賞作品集)。本実験装置では模擬地殻物質としてアガロースゲル(寒天の成分)を用いる。アガロースゲルは透明なので、光弾性の性質を利用することで歪みを可視化できる。濃度約1wt%のアガロースゲルのS波速度はおよそ4-5m/sなので、波動伝播の様子を肉眼で観察することができる。ゲルの濃度によって弾性波速度が変わるので、任意の速度構造をデザインすることもできる。例えば水平2層構造で実験をすると、屈折波の波面を観察することができる。高速度カメラで撮影した画像の任意の点の輝度の時間変化を書き出せば波形が得られる。すなわち画像上の任意の点に仮想的な地震計を設置できる。 この波形データは実際の地震波データと同様に解析できる。従来の地震探査実習は屋外の広い場所と多くの機器類が必要であるし、実験(実習)中にハンマーで起こした地震波を見ることはできないが、この室内模型実験を利用した実習は手軽なだけでなく、地震波が伝わる様子をその場で一目で容易に把握する事が可能になる。この装置を用いた新たな室内地震探査実習によって地殻を伝わる波と地殻の構造の関係を理解しやすくなる事が期待される。開発した実験方法による実習授業を高校生や大学生を対象に実施した。その教育的効果についても報告する。