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[SSS16-07] 地震探査による兵庫~鳥取沖・日本海大和海盆南縁の島弧-背弧海盆域の地殻構造
キーワード:地殻構造、日本海、島弧-背弧海盆
漸新世後期から中期中新世にかけて,大陸リフティング,海洋底拡大を一連とする背弧拡大によって形成された背弧海盆である日本海では,東縁部から南縁部において,東西方向の圧縮応力により形成した活断層や活褶曲を伴う短縮変形域が分布し(例えば,Sato, 1994, Itoh et al., 1997),さらにこの地域では多くの被害地震が発生している(例えば,Okamura et al., 2007).近年,日本海で実施されたマルチチャンネルストリーマを用いた反射法地震探査(MCS探査)と海底地震計(OBS)を用いた屈折法・広角反射法地震探査(OBS探査)の結果より,東縁の短縮変形域と背弧拡大で形成した地殻構造の間によい対応関係があることが明らかになった(例えば,No et al., 2014).このことは日本海縁辺部に分布する短縮変形域の変形メカニズムを理解するためには,日本海の背弧拡大過程やその過程で形成した地殻構造の情報が必要であることを示している.日本海南西縁部では,大和海盆,隠岐トラフといった複数の背弧リフト・海盆が存在し,複雑な拡大過程が想定されている.さらに沿岸部では短縮変形域も分布しているが,東縁と同様な規模の地震探査は行われていないため,地殻構造や構造と背弧拡大の関係,さらにこれらと変形域や活断層・褶曲との関係もよくわかっていない.そこで,これらの関係を明らかにするために,「日本海地震・津波調査プロジェクト」の一環として,2016年夏に日本海南西縁部の兵庫県から鳥取県にかけての沖合から背弧リフトの隠岐トラフ,背弧海盆である大和海盆に至る海域でMCS探査とOBS探査を実施した.OBS探査は兵庫県の沖合から隠岐トラフ,隠岐海嶺,大和海盆,北隠岐堆に至る長さ約225 kmの測線において,制御震源として総容量7,800 cubic inchのエアガンアレーとOBS50台を使用して行われた.MCS探査はOBS探査と同一のエアガンアレーと444チャンネルの約5800 mのハイドロフォンストリーマを用いて,上記のOBS探査と同一な測線と,2002年に行われたOBS探査測線(Sato et al., 2006)にて実施した.得られたOBS記録,MCS探査記録ともに良好である.
現在の暫定的な結果では,測線に沿って地殻構造は大きく変化している.隠岐海嶺の地殻は23 km程度の厚さをもち,朝鮮半島の大陸性上部地殻に対応するP波速度5.4~6.2 km/sの部分(Cho et al., 2006)が厚く存在していることから,大陸性地殻の特徴を持っていることが推測される.一方,大和海盆南縁部の地殻は隠岐海嶺よりも薄く,速度分布も異なっている.沿岸部では,MCS探査結果で確認できる基盤の凹凸に対応するような速度構造の不均質が確認できる.
現在の暫定的な結果では,測線に沿って地殻構造は大きく変化している.隠岐海嶺の地殻は23 km程度の厚さをもち,朝鮮半島の大陸性上部地殻に対応するP波速度5.4~6.2 km/sの部分(Cho et al., 2006)が厚く存在していることから,大陸性地殻の特徴を持っていることが推測される.一方,大和海盆南縁部の地殻は隠岐海嶺よりも薄く,速度分布も異なっている.沿岸部では,MCS探査結果で確認できる基盤の凹凸に対応するような速度構造の不均質が確認できる.