JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS16] [JJ] 地殻構造

2017年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 103 (国際会議場 1F)

コンビーナ:青柳 恭平(電力中央研究所)、Gokul Kumar Saha(Indian Institute of Science Education and Research,Pune)、座長:石山 達也(東京大学地震研究所)、座長:新井 麗(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

15:45 〜 16:00

[SSS16-08] 2016年鳥取県中部地震震源域を横切る倉吉-倉吉沖海陸統合地殻構造探査

*佐藤 比呂志1石山 達也1加藤 直子1戸田 茂2川崎 慎治3阿部 進4藤原 明3田中 康久3Claringbould Johan1Van Horne Anne1 (1.東京大学地震研究所地震予知研究センター、2.愛知教育大学、3.(株)地球科学総合研究所、4.石油資源開発(株))

キーワード:2016年鳥取県中部地震、地殻構造、反射法地震探査、日本海拡大

文部科学省の「日本海地震・津波調査プロジェクト」では、海域から沿岸域の地殻構造探査を行い、震源・波源断層モデルを構築し、発生する強震動や津波を予測する調査・研究を行っている。このプロジェクトの一環として2016年7月から8月上旬にかけて、大和海盆南西部から南北に鳥取県倉吉市に至る180 kmの測線で制御震源による地殻構造探査を実施した。倉吉周辺では、2015年から地震活動が活発していたため探査地域を微小地震発生地域の南端を越えた地域まで延長した。その後、鳥取県中部地震(Mw6.2)が発生したが、震央は測線下に位置する。構造断面は、縁海と伸張された大陸地殻のテクトニクスを反映したものであるが、ここでは発生した地震との関係についても議論する。
海陸地殻構造探査は、海域においては1950 cu. inchのエアガンと4 kmのストリーマによる反射法地震探査、二船式による受振-発震点距離の大きなデータも取得した。陸上には1150チャネルのセンサーを約30kmにわたり展開し、バイブロサイス4台で発震した。海陸で連続したイメージングを行うために、海上発震を陸上で観測した。また、深部のイメージングと速度構造を明らかにするために、陸上測線では9地点でバイブロサイスによる集中発震を行った。取得したデータは、CMP重合法・屈折トモグラフィ法による解析を行った。
得られた反射法地震探査断面では、大和海盆と陸域の間の大陸地殻部分は日本海形成期に大きな伸張変形を被り、ハーフグラーベンが形成されている。これらのハーフグラーベンでは最大5 kmを越える深さの堆積物で充填されている。リフト盆地を充填した堆積物は、後期中新世に南北方向からの短縮変形を被っている(eg. Itoh et al., 1996)。得られた断面では、陸域に近いハーフグラーベンでの短縮量が最大となり、北方に短縮量は減少する。鮮新統の堆積層が褶曲したリフト堆積物をほぼ水平に覆い、浅層部は高角度の断層で変位している。ハーフグラーベンを規制した断層が、選択的に再活動している。
陸域ではバイブロサイス4台の発震によって、ノイズの少ない山地域では往復走時5.5秒程度までの反射波が得られている。測線は2016年鳥取県中部地震のNNW-SSE方向に伸びる震源域と交差し、本震のほぼ真上を通過する。屈折トモグラフィでは、本震より南側ではVp5.5km/sの上面が、震源付近を隔てて北方に深さ2kmほど低下している。また、南側ではより反射面に富む。測線は震源断層の走向と少ない角度で交わるため、直接的に断層の存在を認定することは困難である。